「活脳鍼」
脳卒中の後遺症に効果的
脳梗塞や脳出血について
脳梗塞や脳出血の総称を脳卒中と呼びます。
脳梗塞も脳出血も後遺症は殆ど変わりません。
但し、損傷を受けた脳組織の広さもありますが、一般的に脳出血の方が致死率も高く後遺症も重い場合が多いと言えます。
では、脳卒中に関して、順を追って説明しましょう。
目次
脳の血管が詰まったり破れたりして起こる
脳が正常に機能するためには、全身をめぐる血液の約30%の血液が必要になります。
これが不足して、脳に十分な酸素が行きわたらなくなると、脳細胞は大きなダメージを受けます。
脳卒中は、脳の血管が詰まったり破れたりして、脳細胞に十分な血液が供給されなくなってしまう病気です。
脳血管の障害によって起こることから、脳血管障害とも呼ばれます。
かつてはきわめて死亡率の高い病気でしたが、現在では、診断技術や治療技術の進歩によって、治癒率が大きく向上しています。
ただ、日本人の死亡原因でみると、ガン、心臓病に次いで第3位に位置しているように、命を失う危険が大きく、また、命をとりとめても言語や運動機能に大きな障害が残りやすい恐ろしい病気であることは現在も変わりありません。
もっとも、ひとくちに脳卒中といっても、いくつかのタイプがあります。
最も多いのは、脳の血管が詰まるために起こる脳梗塞で、脳卒中全体の70~80%を占めています。
脳梗塞には、脳の血管が狭くなって起こる脳血栓と、心臓などにできた血液のかたまり(血栓)が脳に流れ込んで血管を詰まらせてしまう脳塞栓があります。
残りの脳卒中の大部分は、脳内の血管が破裂して出血する脳出血によって占められています。
戦後しばらくまでは脳出血が日本人の脳卒中の大半を占めていましたが、現在では脳梗塞と立場が入れ替わっています。
この二つのほかに、脳を包んでいるクモ膜と軟膜の間に出血するクモ膜下出血があります。
脳卒中全体に占める割合はわずかですが、最も命を失う危険が高く、恐ろしい病気です。
なお、脳梗塞のなかには、体のマヒや言語障害といった症状があらわれても、24時間(大部分は数分)以内に治ってしまうケースがあり、このような場合を一過性脳虚血発作と呼んでいます。
比較的短時間で治ってしまうため、「少し疲れているのだろう」などと見逃してしまいがちですが、そのまま治療を受けずにいれば本格的な脳梗塞に進展します。
早めに治療を受けることが大切です。
心筋梗塞の1.7倍、依然として多い死亡者数
前述したように、現在、日本人の死亡原因の第1位はガン、2位が心筋梗塞などの心疾患、3位が脳卒中を含めた脳血管疾患です。
この順位は、1980年代から変わっていません。
ちなみに2006年の統計によれば、ガンによる死亡者は約33万人、心疾患が約17万3000人、脳血管疾患が約12万8000人となっています。
この数字だけみれば、心臓病のほうが脳卒中よりも死亡率の高い病気のように思えます。
しかし、第2位の心疾患のなかには、心不全やリウマチ性心疾患など、心臓以外の病気が悪化して、最終的に心臓に致死的な障害が生じて死亡した例が、かなり含まれています。
一方、脳血管疾患のほうは、そのほとんどが脳卒中で占められ、脳卒中以外の病気は約3500人でしかありません。
実質的には、脳卒中の死亡率は心筋梗塞の2倍、罹患率は3~7倍といわれていて、心臓病よりも恐ろしい病気なのです。
また、それぞれの代表的な病気をみても、罹患率で脳卒中の約4分の3を占める脳梗塞は、死亡者数でも約7万5000人と、脳卒中全体の60%強を占めています。
一方、心疾患では、心筋梗塞を含めた虚血性心疾患による死亡者は約7万5000人。
心筋梗塞だけに限れば約4万5000人です。この数字をみても、脳卒中がいかに怖い病気かがわかります。
ちなみに、ガンは死亡者数で心疾患や脳血管疾患を大きく引き離していますが、これはいろいろな臓器にできるガンすべてを合わせての数字です。
臓器別にみれば、最も死亡者が多い肺ガンでも約6万3000人です。
脳卒中は、一つの臓器に起こる病気としては、最も死亡者が多い病気といっても過言ではないのです。
タイプによって異なる発症のメカニズム
ひとくちに脳卒中といっても、血管が詰まるのか破れるのか、同じ詰まるにしてもどのように詰まるのか、などによって病気の起こり方が違います。
脳梗塞
脳梗塞は脳組織の栄養血管が血栓で塞がり、その先に栄養や酸素を送り届けることができなくなり、脳細胞が壊死を起こしてしまう疾患です。
稀に空気や脂肪のことがありますが、殆どは血の塊である血栓が原因です。
脳梗塞を大別すると、次の3つに分けられます。
1.ラグナ梗塞
脳の奥の直径1.5mm以下の細い血管が詰まる脳梗塞です。
高血圧が発症の原因と言われています。
血管の内壁に圧がかかりキズつけてしまうことで動脈硬化が進み、閉鎖してしまう、あるいは血栓が詰まることで発症します。
また、遺伝的に日本人に起こりやすいとも言われています。
いずれにしろ、急迫した症状はみられず、無症状か、軽いしびれや運動マヒで済んでしまう方が多いようです。
また、まだら認知症を併発するケースも多々あります。
以前は日本人の認知症の多くはラグナ梗塞が原因と言われましたが、現在はアルツハイマー型の占める割合が増えています。
但し、進行すると、命にかかわることもありますので、抗血栓薬などの服用も必要になります。
特に高齢者に頻発しますので、周囲の方が注意を払い、早期発見に努めるべきです。
2.アテローム血栓性脳梗塞
脳の比較的太い中大動脈がアテローム性動脈硬化を起こすことで内腔が塞がる、あるいは狭まり、そこに血栓が詰まるということで発症します。
血管の内腔にある内皮細胞が傷つくと、その下にコレステロールを溜めた白血球がもぐり込み修復しようとします。
その量が多くなると、内腔が盛り上がるようになります。
更に血流による刺激が加わると表面がキズ付きやすくなり、止血のため血小板が集まります。
その結果、血の塊ができ、塞いでしまう、あるいは剥がれて先の血管を詰まらせてしまう。
アテロームとはコレステロールのことですので、コレステロールが元凶にある脳梗塞ということで、アテローム血栓性脳梗塞と呼ばれるようになったのです。
中高年齢者に多発し、高血圧症や糖尿病、脂質異常症などが危険因子とされています。
特に糖尿病は内皮細胞を傷つける最大の原因とされていますので、血糖のコントロールが絶対です。
死亡率も再発率も高く幸いにして命拾いしても、運動マヒや感覚マヒ、言語障害、嚥下障害、高次機能障害、場合によっては半盲や複視などの後遺症があらわれます。
発症直後の治療としては、t-PAと呼ばれる血栓を溶かす薬剤を点滴で注入することが主流になっています。
更に抗凝固剤や血管拡張剤の投与も同時に行われることが多いのです。
とにかく、救命や後遺症を軽減するために、一刻も早く血流を再開する必要があるのです。
それでも少なからず片マヒなどの後遺症が残ることがあります。
リハビリによる機能回復が必要となります。
3.心原性脳塞栓症
心房細動や心筋梗塞、心臓弁膜症、心筋症などの心臓病により生じた血栓が脳動脈に運ばれ、内腔を閉鎖することにより発症します。
特に多いのは心房細動からの脳梗塞です。
心臓の血液が流出する部屋は右心房と右心室、左心房と左心室で成り立っています。
右心房には洞調律と呼ばれる微弱な電量を流す箇所があります。
この電流により心筋が規則正しい拍動を行いますところが、他の部位から乱れた電流が発生すると、心臓が痙攣するかのように拍動するようになります。
このように途切れたり、弱弱しい動きになったりするのを不整脈と呼びます。
不整脈のうち、左心房の肺から送られてくる血液の出口あたりで発生する乱れた電流により起こる不整脈を心房細動と呼びます。
結果として血液がかき回されるようになり、血小板が異常興奮することが血栓の発生につながるようです。
心原性脳塞栓症は心臓病がもとになっているのは間違いありませんが、過度なストレスが加わっても起こる可能性があります。
若年層の原因不明の脳梗塞は心原性脳塞栓症が原因とも言われています。
いずれにしろ、大きな血栓を発生しやすので、脳梗塞でも重篤なことが多く、後遺症も強い傾向にあります。
他の脳梗塞と同じく、発症後、4.5時間以内ですと、t-PAの点滴を行います。
それでも融解しない血栓にはカテーテルを送り込み回収する操作もします。
多くは生命維持が主体にあります。
脳梗塞の直接の引き金となるのは、脳血管の動脈硬化です。
たとえば、脳の動脈に動脈硬化が起こると、血管の内腔が次第に狭くなり、ついには血管が完全にふさがって血液がそこから先に流れなくなってしまいます。
その結果、そこから先にある脳細胞は酸素や栄養の供給を受けられなくなり、壊死してしまいます。
これが脳血栓です。
脳血栓には、こうした病的変化が細い動脈に起こるラクナ梗塞と、大きな動脈に起こるアテローム血栓性脳梗塞があります。
ラクナ梗塞は高齢者や高血圧をもつ人に多く、糖尿病や高脂血症とも関連しています。
一方、アテローム血栓性脳梗塞は、高血圧、糖尿病、高脂血症が重要な危険因子で、食生活など日本人の生活習慣の変化により、最近増加しています。
脳塞栓の場合は、加齢とともに心臓など脳以外の臓器に動脈硬化が起こり、その結果生じた血栓(血液のかたまり)が血液の流れに乗って脳にたどり着いて血管をふさいでしまう、というのが一般的なパターンです。
最も多いのが心臓にできた血栓が原因となるケースで、心原性脳塞栓といい、心臓弁膜症や心筋梗塞、心房細動(不整脈の一種)などのために心臓の働きが低下していると、血栓ができやすくなります。
特に若い人の脳梗塞は心原性脳塞栓が多いようです。
動脈硬化が起きる年齢ではないのに、心臓の冠状動脈にも脳血管にも動脈硬化が見られないのに、こんな若い人がどうして?と首をかしげたくなることも多々あります。
多くの場合、突発性の不整脈が血栓の原因と思われています。
過労やストレス、ヒートショックなど、心血管の痙攣を起こす原因は日常に生活に潜んでいます。
若いからと言って過信は禁物です。
なお、細菌性心内膜炎のように、心臓に細菌の感染病巣がある場合にも、血栓ができやすくなることがあります。
脳出血
脳に栄養を送る動脈から出血を起こし、周りの脳組織を圧迫することにより発生します。
主たる原因は高血圧ですが、老化によるアミロイドの沈着もあげられます。
特に脳のくも膜下を流れている動脈が破裂して場合は、くも膜下出血と呼ばれています。
脳出血は、広い意味でいえば、頭蓋内部で起きた出血のために脳細胞が障害される病気です。
したがって、くも膜下出血も脳出血に含まれますが、一般に脳出血という場合には、脳の内部に出血が起こる脳内出血のことをさします。
脳出血とは脳内の血管が何らかの原因で破れ、大脳、小脳および脳幹に出血が起きるために意識障害、運動マヒ、感覚障害などの症状があらわれます。
また、出血が止まっても、出血した血液が固まって血腫ができます。
それが大きくなると周囲の脳組織を圧迫して脳ヘルニアを起こし、重い場合は脳幹部が圧迫されて死に至ります。
近年、脳出血による死亡数は減ってきましたが、その最大の理由は高血圧の薬物療法が進歩し、血圧のコントロールが十分に行なわれるようになったためです。
なお、最近は、脳出血を起こしても軽症ですむケースが増えていますが、それでも運動障害や認知症などの後遺症で悩む患者さんが多いのも事実です。
脳出血の最大の原因は高血圧で、脳出血全体の約70%を占めています。
ただ、高血圧だけが原因となるわけではなく、動脈硬化や加齢によって血管がもろくなることも、脳出血を引き起こす大きな要因です。
また、出血をともなう病気があったり、血液をかたまりにくくする抗凝固剤を服用している場合には、脳内出血による死亡リスクが高くなります。
現在は食生活が豊かで降圧剤などの普及により、減少傾向ですが、古くは脳溢血とも呼ばれ、恐れられていました。
塩分の多い食事による高血圧、動物性たんぱく質の摂取量が少ないことによる動脈構造の脆弱などが主たる原因と思われています。
血圧が高い状態が続くと、末端の細い脳動脈に小さな動脈瘤が発生します。
血管の壁がもろいので、急激な血圧の上昇に耐えられなくなり出血を起こしてしまいます。
また、老化物質であるアミロイドは血管の内腔を押し上げるように沈着し、血管の壁を脆弱にしてしまいます。
脳組織に多量のアミロイドが蓄積されると、アルツハイマー認知症の原因にもなります。
発症直後は血圧を下げる薬剤や止血剤、続発性の浮腫を軽減させる薬剤の投与が一般的です。
安静にして経過を観察しますが、出血量が多く広範囲に脳を圧迫した場合、頭蓋骨に穴を開け、管を挿入して溜まった血液を排出する治療も行われます。
更に脳組織が壊死を起こしたら、外科的に摘出する手術も行われることもあります。
また、脳は頭蓋骨の内側から硬膜、くも膜、軟膜の順で保護されていますが、くも膜と軟膜の隙間を走っている血管から出血するのをくも膜下出血と呼んでいます。
くも膜下出血も脳出血の一種になりますが、破れた血管が異なるだけです。
多くは血管の内側にできる瘤からの出血で、遺伝的な要素が高いのが特徴です。
どんなときに起こりやすいか?
脳梗塞は夜間・早朝に起こりやすい。
脳梗塞には、起こりやすい時間帯や季節があります。
時間帯としては、睡眠時または起床時に起こるケースが多いようです。
これは夜間は体内の水分が少なくなるために、血液が濃くなって血栓ができやすくなるためです。
また、血液の水分量が減るということは、血液の量自体が減ってくることでもあります。
血液量が減れば血圧が低下して、脳の血流量が減ります。
そして、血流量が減少すると血流の勢いが低下し、それだけ血栓が血管に詰まりやすくなるのです。
このようなパターンは、脳梗塞のなかでも、ラクナ梗塞やアテローム血栓性脳梗塞でよく起こります。
これらの脳梗塞を防ぐには、寝る前に1杯の水を飲んでおくことが、手軽な予防法です。
ただし、同じ脳梗塞でも、アテローム血栓性脳梗塞と心原性脳塞栓症の場合は異なります。
心原性脳塞栓症は、心臓にできた血栓が脳の血管を詰まらせる病気ですが、仕事中や運動中など、体を動かした際に、心臓の血栓が血流にのって脳に流れ込むことがよくあるのです。
脳梗塞は、血液の粘りが強くなることが発症に大きく影響します。
それだけに、体の水分が失われやすい夏場は、脳梗塞を起こしやすい季節といえます。
こまめに水分を補給することが大切ですが、心不全の人は、水を飲みすぎると心臓に負担をかけることになります。水を飲む量については主治医に相談してください。
なお、寒い季節は安心かというと、そうともいえません。
高血圧は、動脈硬化と並ぶ脳梗塞の原因であり、寒くなると血圧が上昇しやすいのです。
脳出血が起こりやすいのは日中の活動時
脳出血が起こりやすい時間帯は、午前一〇時ごろといわれています。
この時間帯は1日のなかでも血圧が上昇し始めるので、急激に高まった血圧に、もろくなった血管が耐えきれなくなって破れてしまうためです。
また、時間帯を問わず、血圧が急に高くなる状況も、脳出血では注意が必要です。
東京都のある調査では、冬場、浴室で倒れ死亡するケースは、交通事故死よりも多かったそうです。
浴室はふたを開けて湯気で暖めてから入る、脱衣場も暖房する、熱すぎる湯に入らない、長く湯につかるときには湯は胸の高さまでにする、素足が冷たいところに触れないようにする、出るときには上半身から拭いていく、といった配慮が必要です。
また、排便時も血圧上昇によって脳出血が起こりやすいことがよく知られています。
とくに寒い冬に、下半身をさらしてきばるのですから、血圧は自然と上がります。
トイレの暖房や、便秘の予防を心がけることが、脳出血予防のポイントの一つです。
なお、くも膜下出血の場合は、とくに起こりやすい時間帯や季節はないようです。
突然の頭痛や手足のしびれが起きたら要注意!
脳卒中の典型的な症状とは
脳卒中の場合、出血や梗塞が脳のどの部位に生じたかによって細かな症状は異なってきます。
ただ、おおまかにいえば、脳出血も脳梗塞も、あらわれる症状はそれほど違いがありません。
つまり、突然の激しい頭痛や意識障害、体の左右どちらかの筋肉や感覚のマヒ、片側の目の急激な視力低下、吐きけ、嘔吐、ロレツが回らないといった症状です。
また、脳梗塞や脳出血では、ゆっくりした、しかし不規則な呼吸パターンがみられます。
これは血腫などによって脳内の圧力が高くなり、周囲の脳組織が圧迫されて起こる脳ヘルニアによるものです。
脳ヘルニアは、頭蓋内圧が非常に高くなると起こり、脳が下方に押しつけられてしまいます。
脳の下の部分には、呼吸をはじめとした人体の生命維持をつかさどる脳幹があり、脳幹の下部に呼吸中枢があるため、異常な呼吸パターンが起こるのです。
症状が急に進む脳出血、段階的に進む脳梗塞
一般に、脳出血は突然起こり、約半数の人はひどい頭痛で始まります。
また、吐きけ、嘔吐、けいれん発作、視力障害、手足のマヒ、意識低下、言語障害などの症状も多々みられます。
これらの症状は数秒から数分という短時間に起こり、急速に悪化していきます。出血範囲が広いと、症状も悪化します。一刻も早く救急車で病院に運ぶ必要があります。
一般に、脳出血は突然起こり、約半数の人はひどい頭痛で始まります。
また、吐きけ、嘔吐、けいれん発作、意識消失などが多くみられ、これらは数秒から数分以内に起こります。
続いて筋力低下やマヒ、しびれ、失語、視力障害、錯乱などの神経症状があらわれ、これらも急速に悪化していきます。出血範囲が拡大すると、症状も悪化します。
近くにいる人が脳卒中で倒れたら
脳卒中では、意識障害とともに呼吸障害をともなう場合が多くみられます。
倒れた直後は、吐物によって窒息することと吐物を誤飲することがありますので、要注意です。
吐いた場合は、体のマヒした側を上に、顔を横にして誤飲を防ぎます。
救急車が来る前には、頭部を後屈させて下あごを持ち上げ、口を開かせて呼吸を確保します。
枕はあごが下がり、舌根が沈下して窒息する危険性があるので用いません。
このような処置をして、患者さんはできるだけ早く専門の病院に運び、適切な治療を行なうことが大切です。
ふだんから血圧の高い患者さんに突然に起こることの多い、片側の上下肢における持続性の脱力は、脳出血や脳梗塞の可能性があるので、軽い場合でも神経内科、脳神経外科のある専門病院で精密検査をする必要があります。
脳卒中の前ぶれ症状に要注意
脳卒中は突然、発作が起こるケースが多いのが特徴です。
しかし、多くの場合、発作の前に前駆症状と呼ばれる前ぶれがあります。
とくに動脈硬化を原因とする脳梗塞の場合には、めまいや脱力、しびれなどの前駆症状がみられます。
前駆症状は、脳卒中以外でも日常的によくみられる症状なのでつい見逃しがちですが、いち早く気づいて病院でみてもらえば、重い後遺症を残さずに治すこともできます。
以下のような症状に気づいたら、念のために病院を受診するようにしましょう。
頭痛・吐きけ
頭痛はいろいろな原因で起こりますが、脳卒中で最もよくみられる症状でもあります。
とくに、急に起きた頭痛で、ふだん経験したことのない強い痛みがある場合には要注意です。
なお、脳卒中では、頭痛に吐きけや嘔吐をともなうことがよくあります。
しびれ・脱力感
顔あるいは片側の感覚がなくなる、あるいは力がぬけてしまうといった症状が急にみられた場合には、脳卒中をまず疑ってみる必要があります。
何気なく手に持ったものを落としてしまう、なぜかふつうに歩けない、といったことで脱力やマヒに気づくことがよくあります。
めまい
めまいも日常的にみられることの多い症状で、吐きけや嘔吐をともなうことが多いものです。
めまい全体に占める割合からいえば脳卒中はごく一部ですが、急にめまいが起きた場合には、脳卒中の可能性があります。
とくに、手足のしびれや脱力感、物が二重に見えるなどの症状をともなう場合には、めまいの程度が軽くても要注意です。
意識を失う
急に目の前が真っ暗になって意識を失った場合には、脳と心臓の両方に原因がある可能性があります。
脳に原因がある場合では、頸部や頭蓋内の太い血管が細くなったために起こることがあります。
心臓に原因がある場合には不整脈が原因で起こる場合があります。
しゃべれない
うまくしゃべれなくなる言語障害も、脳卒中でよくみられる症状です。
言語障害には二つの種類があります。
一つは失語症といって、大脳の言語中枢の障害によるもの。話しかけられても理解できない場合(感覚性失語)と、思ったことを話せない場合(運動性失語)、そのどちらもできない場合があります。
もう一つは構音障害で、舌や口の筋肉がマヒして、ロレツが回らなくなるものです。
この場合は、言葉の内容や理解力には異常がありません。
物が二つに見える
片目をつぶって見た場合には何でもないのに、両目を開いて見ると、対象が二重に見える場合を複視といいます。
目の病気や薬の副作用などでも起こりますが、急に生じた場合には、眼科的な病気よりは脳卒中など脳に原因がある場合が多いようです。
物が見えにくい
視野(視界)の半分が急に見えにくくなる視野障害や、急に片側の目が真っ暗になって見えなくなる(黒内障)場合には、脳卒中の可能性があります。
視野障害の場合は大脳の視覚中枢の障害、黒内障の場合には大脳に酸素や栄養を供給している内頸動脈の一部に血流障害が起きていることが考えられます。
物忘れ・認知症
物忘れなどの認知症状も、脳卒中発作の前ぶれとして、しばしばみられます。
数時間前のことが思い出せない、同じことを何度も繰り返し聞くといった症状があらわれたら、脳卒中の可能性を考えて、早めに病院で調べてもらいましょう。
画像診断によって診断技術が大きく進歩
最近は脳の検査法が非常に進歩して、脳卒中はCTやMRIを使うと早期に確実に診断ができるようになりました。
脳卒中は、いかに早く治療を始められるかで、命を救えるか、あるいは後遺症をどれだけ少なくできるかが左右されます。
その意味でも、画像検査による迅速・的確な診断が可能になったことは、大きな福音といえます。
脳卒中診断の中心になるのは、CTとMRIですが、この二つの画像検査には、それぞれの守備範囲があります。
脳梗塞の場合、発症して数時間以内の場合には、CTでは異常が映し出されないので、MRIが用いられます。
CTに脳の障害部位があらわれるのは24時間たってからで、これ以降はMRIも行なわれますが、CTのほうが鮮明な画像がえられるため中心になります。
一方、脳出血やくも膜下出血では、CTが最も有用で、発症後数分以内に血腫が白く映し出されます。
3~6時間で血腫が完成し、約1か月すると周囲の組織と同じ色になり、やがて脳組織より黒く映るようになります。
脳動脈瘤、脳動静脈奇形、脳腫瘍による出血が疑われる場合は、脳血管撮影が必要です。
これらの検査のほか、腰椎穿刺で出血の有無、状況、部位などを調べることもあります。
更に詳しく知りたい方は次をご覧ください。
当院独自の治療法を知りたい方は次をご覧ください。
脳梗塞や脳出血の治療
生死を別ける早期の治療
日本の救急医療はシステムや医療機関による格差の問題はありますが、世界でトップクラスの水準です。
そのため、脳梗塞や脳出血の死亡率も低下してきています。
優れています。
救急医療
日本の救急医療は海外からも称賛されるぐらい高い水準にあります。
1964年以降分け隔てなく誰でもが適切な救急医療が受けられるように体制が拡充されてきました。
また、応急的な処置ができるように救急救命士制度も創設されるに至っています。
そのため、脳梗塞や脳出血の死亡率も低下してきているのは事実です。
但し、医師不足や設備の問題などで患者のたらい回しが問題になっています。
特に脳梗塞や脳出血などの脳卒中は迅速に適切な救急処置が生死を別けます。
早い段階で初期治療を受けられず尊い人命を失うこともあります。
大変不幸なことです。
したがって、住所地の救急医療体制を事前に把握しておくことが必要です。
脆弱な場合は、市民ひとりひとりが市政に改革を要望することです。
脳梗塞の治療法
救急救命室に運ばれると、まずは呼吸や脈拍、血圧、体温などの基礎的なデータを集めます。
基本的の生理反応を正常にすることで、予後や治療の反応性を高めます。
血圧が高ければ降圧剤、頻脈ならばβ遮断剤、発熱があれば解熱剤などの薬剤で安定させます。
特に発熱は予後を悪化させる大きなファクターとなりますので、解熱は必須です。
次に急性期の本格的な治療ですが、脳梗塞の中心部は血流が再灌流しないと1時間ぐらいで壊死を起こしてしまいます。
周辺部は更に数時間耐えられますが、機能低下は免れません。したがって、一刻も早く、詰まった血栓を溶かして血流を再開させなければなりません。
血栓を溶かす方法ですが、一般的に4種類に大別されます。
経静脈血栓融解療法や経動脈内血栓融解療法、血管内治療、抗血栓療法と呼ばれています。
どこの救急病院でも第一選択枝とされるのは経静脈血栓融解療法です。
経静脈血栓融解療法はt-PAという血栓を溶かす薬剤を手足の静脈から点滴して、詰まった血栓を流すということになります。
もともとは心筋梗塞に使われてきましたが、脳梗塞も同じ虚血性疾患ということで臨床に応用したところ、回復する例が多いので、脳梗塞にも応用範囲を広げたのです。
但し、発症後3時間以内に行わなわなければならないという原則があります。
時間が過ぎれば過ぎるほど効果が薄れてしまいます。
血栓が溶けにくくなるということと、脳細胞の壊死が進んでしまうということが理由です。
脳細胞の壊死が広範囲に及ぶと、強い浮腫が生じ、脳を圧迫して、健康な組織にも損傷を与えてしまいます。
また、正確な診断も求められます。
t-PA(プラスノミノーゲン活性化因子)には強い血栓融解作用がるととともに出血傾向という不利益な面もあります。
脳梗塞でも血栓が原因でなければ、効果が期待できません。
それどころか脳組織の破壊が広がり回復不能になってしまう可能性があります。
更に脳が壊死すると、続発性に浮腫を起こし、健康な脳を圧迫して損傷が広範囲に及んでしまいます。
この場合は生命にかかわりますので、手術という選択もあります。
その他、症状が軽いい場合は、内服の血栓溶解剤や抗血小板剤、抗血栓剤などの投与で経過を観察することもあります。
脳出血の治療法
一般的に脳出血は脳梗塞より病状の進展が早いと言われています。
血管から漏れ出した血液が固まり血種となり、周囲の脳細胞を圧迫するとともに浮腫を起こし、二重三重に脳組織を損傷させてしまいます。
したがって、絶対安静のもとに止血剤や抗脳浮腫剤の投与、血圧のコントロールを行います。
通常、血種の増大は6時間程度で収まりますが、脳の浮腫は3日後あたりから強くなり、1~2週間目ぐらいがピークとなります。
ですから、血種が収まったとしても安心してはいられません。
外科的治療としては、開頭して血腫を取り除く方法と、ドリルで頭蓋骨に穴を開け、そこから血腫をバキュームする方法があります。
近年は、後者を選択する医療機関が増えています。
また、脳出血では、てんかん発作や発熱、消化管出血などの後遺症の心配があります。
手足のマヒや拘縮も強くあらわれる傾向にあります。
容態が落ち着いても予断を許せません。
なお、くも膜下出血も脳出血に含まれます。
くも膜は脳の表面をおおう膜で、その下を走っている太い動脈から出血した場合を指します。
この動脈は脳全体に栄養や酸素を送り届けています。
太い血管からの出血、脳全体の栄養血管という条件がありますので、くも膜下出血は脳出血の中でも死亡率が高くなっています。
また、動脈硬化のある中高年年齢者のもならず、若年層にも多発しています。
これは、くも膜下出血の原因で最も多いのは脳動脈瘤破裂だからです。
脳動脈瘤は遺伝的に発生することが多いので、年齢を問わず発症するのです。
一般的な脳出血の管理や治療が必要なのは言うまでもありませんが、破裂した動脈瘤をクリップでとめる手術や、カテーテルを利用して出血している部分にコイルを巻き付け止血するという外科的な治療で救命しています。
これらの治療により回復したあと、もし後遺症が残っていれば、約6ヵ月間専門的なリハビリを保険で行います。
それでも回復しない場合は自費でもリハビリになることが多いようです。
脳梗塞や脳出血の後遺症の治療
脳卒中の後遺症からの脱出にはリハビリが最も重要です。
脳梗塞と脳出血は恐ろしい病気ですが、医師の賢明な救急救命処置により一命を取り留めるケースが増えています。
救急医療の進歩と言えます。ところが、この病気の厄介なところは、後遺症が残ることです。
脳梗塞でも脳出血でも、多くの場合手足や顔に運動マヒや感覚マヒが発生します。
その他にも言語障害や嚥下障害、視野が半分になってしまう半盲、頭痛、めまい、身体動揺感、認知症、うつなど様々な後遺症があらわれます。
中には視床痛と呼ばれる激しい痛みを伴う頭痛もあります。
したがって、後遺症をいかに克服するかが治療の大切なポイントです。
脳梗塞や脳卒中の後遺症症状は様々
片マヒ
脳の運動中枢や神経線維が障害されて片方の手足にマヒが起こる状態を「片マヒ」と呼びます。
大脳は左右の半球に分けられますが、左半球は右半身を、右半球は左半身をコントロールしています。
このため、左の運動中枢が障害されると右半身にマヒが起こり、その逆もあります。
マヒの度合いは、手足のしびれやふるえといった軽いものから、まったく動けず、痛みなどの感覚もなくなる重いものまで、脳にどの程度の障害が及んだかによってさまざまです。
足のマヒでいえば、寝たきりになる人はほとんどいません。
適切な治療とリハビリを行なえば、片マヒの患者さんの約80%以上が、杖などを使って一人で歩けるようになります。
脳の障害が軽ければ、完全回復も可能です。大切なのは諦めずにリハビリに励むことです。
そして、回復が望めない場合でも、現状を維持し、残された機能を生かすためのリハビリを続けることが、後遺症を克服するうえで最も重要なのです。
言語障害
言語障害も、障害の起きた脳の場所によって症状が違ってきます。
側頭葉に障害が起こった場合には、言葉を聞いて理解する力が低下し、相手との会話が成り立たなくなります。
このような症状をウェルニッケ失語といいます。
側頭葉には言葉を聞いて理解する感覚性言語中枢(ウェルニッケ中枢)があり、この部分が障害を受けてしまうと、音としては聞こえますが、判別ができなくなり、相手の言葉を理解できなくなります。
また、発音自体は問題ないのですが、話すときに言葉を正しく選択できず、意味のある言葉になりません。
精神障害と間違えられることがよくあります。
一方、思考や判断、計算などをつかさどる前頭葉に障害を受けると、言葉を理解できても、話そうとすると言葉にならなくなります。
これはブローカー失語といい、手足を動かすための指令を出す運動中枢や、言葉を話すための機能を調整する運動性言語中枢が障害されることが原因で起こります。
そのほかにも、言葉を理解することも話すこともできない全失語、言葉を理解できても簡単な単語を忘れてしまう健忘性失語があります。
これらの失語症は、発病後6か月を過ぎてから回復することもあります。
失語症のリハビリは、病状や精神状態が安定してから始め、根気よく続けることが大切です。
また、舌やのどなどの発音に必要な筋肉にマヒがあると、ロレツが回らなくなり、言葉がつかえてしまうマヒ性構音障害が起こります。
この場合には、早い段階で、顔や口、舌を動かす練習が必要になります。
視覚障害・感覚障害
視覚障害とは、視野の片側半分が見えにくくなるもので、半盲とも呼ばれます。
両目のどちらにも起こる可能性があり、慣れるまでは見えない部分にある壁などにぶつかったり、読み書きが不自由になります。
このような場合は、顔ごと上下左右に動かして周囲を確認し、欠けている視野を補う必要があります。
感覚障害は、マヒのある手足がしびれたり、痛みや熱さ、冷たさ、圧迫感などを感じにくくなることです。
痛みを感じないため、けがややけどしても気づかないことがあります。
とくに台所や浴室では、このような事故が起こりやすいので注意が必要です。
手足のしびれは、発病後何か月もたってからあらわれることがあります。
失認・失行
失認というのは、見えたり聞こえたりすることはできても、それが何であるか理解できないことをいいます。
脳卒中でよくみられるのは左半側空間失認で、自分から見た左側半分の空間が認識できなくなり、左側にあるものを無視してしまいます。
たとえば、どこかに出かけても、左側を認識できないために、左に曲がるべき場所で曲がることができず、いつまでも目的地に辿りつけないといったことが起こります。
失認がみられる場合、家族は患者さんが左側を認識できないということを念頭に置いて接する必要があります。
一方、失行とは、マヒなどの運動障害がないのに、簡単な動作がうまく行なえなくなることをいいます。
コップの水を飲むという何気ない行為にも、視覚や皮膚感覚、さまざまな筋肉の動きを総合的にコントロールする機能が必要です。
脳の局所に障害が起こると、それらの機能がうまく働かなくなり、服のボタンがかけられない、スムーズに歩けないといった症状があらわれます。
そのほかにもさまざまな症状が日常生活の中で出てきますが、家族は患者さんに正しい行為を毎日繰り返し教えていくことが大切です。
情緒障害
一般に、脳卒中の後遺症というと、手足のマヒや言語障害など身体的な症状を思い浮かべがちですが、意欲の低下や気分の落ち込み(仰うつ状態)といった情緒障害も、脳卒中ではしばしばみられる後遺症の一つです。
患者さんにとって突然体が思うように動かない事実は大変なショックであり、気分が暗くなったり、感情の起伏が激しくなることがあります。
このような症状が長く続くと、リハビリに消極的になり、後遺症の回復を遅らせることにもなりかねません。
家族や周囲の人の気づかいや励ましが何よりも必要です。
後遺症はリハビリでどの程度、回復するか
後遺症はどの程度回復するものなのか、一生このままの状態なのかなどは、患者さんや家族が最も心配することでしょう。
一般的には、後遺症で最も多いのが手足の片マヒです。
手のマヒが残るかどうかは、発作が起きてから1か月めと3か月めが目安とされます。
発作当日から手が動かせるようであれば、完全に回復する可能性が高まります。
また、1か月以内に動くようであれば、不自由なく使える程度まで、3か月以内に動くようなら、健康な手に対する補助的な役目として使える程度までの回復が望めます。
一方、足のマヒの場合は、発作後1か月以内に、寝た状態で足で自転車をこぐ動きができれば、正常の歩行ができるようになります。
3か月たっても立てひざができないと歩行ができる期待は低くなりますが、いずれにしてもリハビリを根気よく続けていくことが大切です。
実際のリハビリ法
リハビリの進め方
リハビリでは、手足のマヒなど、脳の障害によって失われた機能を回復させることが目的になります。
ただ、後遺症がどの程度回復するかは、なかなか事前に予測することができません。
そこで、実際のリハビリでは「失われた機能を回復させる訓練」と同時に、「残された能力を開発する訓練」を行ない、万が一、機能が回復しなくても一定の生活ができるように努めます。
たとえば、半身がマヒし歩けなくなった場合には、歩く訓練と並行して、残された半身で、車椅子を操作する訓練をします。
このように二本立ての訓練には、マヒがよくならなかった場合の対応策を準備しておくことのほかに、マヒがよくなるまでの生活を少しでも快適に過ごすために自立を促すという目的があります。
マヒは患者に最も不安を与える症状です。患者さんのなかには、車椅子の訓練を始めようとすると「マヒした半身はもうこれ以上、よくならない」という宣告と受け止め、訓練を拒絶する人もいます。
しかし、脳卒中は、かぜや腹痛のように数日で治るものではありません。
多くの場合、程度の差はあるものの何らかの後遺症をともないます。
いまある生活をできるだけ充実させながら、将来に向けた訓練を続けていくことが大切なのです。
脳卒中のリハビリは、ふつう急性期・回復期・維持期の3段階に分けられます。
急性期の訓練
脳卒中の場合、後遺症を最小限に抑えるためには、できるだけ早い時期にリハビリを始める必要があります。
ベッドに寝たまま動かないでいると、筋肉が萎縮したり、関節が硬くなって動く範囲が狭くなったり、あるいは心肺機能や知的能力が低下したりするためです。
このように、体を使わずにいることによって起こる心身の能力低下を、廃用症候群と呼んでいます。
最近では、廃用症候群を防ぐため、手術の翌日にはリハビリを始めるケースも増えてきて、患者さんが自分で体を動かせない場合には、病院のスタッフや家族が、患者さんの姿勢を変えたり、関節を動かしたりします。
また、脳卒中の場合、壊死した脳細胞の周囲には、機能を停止しているだけで完全には死んでいない細胞があります。
早い段階でリハビリを始めることは、こうした仮死状態の細胞を生き返らせる効果もあるのです。
もちろん、患者さんの状態によって、その内容は異なってきます。
症状が軽い場合で、脳の血管の状態を検査し、頭を起こしても病状が悪化しないと判断されたときは、発症後の早い時期から座るための坐位訓練を行ないます。
しかし、症状が軽くても、頭を起こすことによって脳に血液が流れなくなってしまう危険性がある場合には、体を起こさず、寝た状態で関節を動かす練習(関節可動域訓練)をします。
また、意識がない、あるいは運動マヒが重かったりした場合には、関節可動域訓練に加え、関節をよい状態に保っておくこと(良肢位保持)も必要です。
亜脱臼や関節痛の危険性を軽減します。
但し、これにより患側のリハビリがおろそかになっては元も子もありません。
日本では健側の機能を高め、失われた患側の機能を代償するように仕向ける傾向がありますが、欧米では可能な限り患側のリハビリを行います。
CI療法がその典型です。
回復期の訓練
治療が終わって、リハビリ専門病院などに移り、運動能力などの生活に必要な機能の回復を図るのが回復期のリハビリの目的です。
運動能力の回復が最も期待できる時期で、発症してから1~6か月が、回復期にあたります。
理学療法士(PT)や作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)など、さまざまな医療スタッフが加わって、集中的な訓練が行なわれます。
訓練の内容は、マヒした手足に対する訓練と、起き上がったり、歩いたりといった動作の訓練が中心になります。
手足のマヒの回復は、自然治癒力によるところが大きいのですが、実際には、毎日、手足を動かす努力をしていないと、どの程度までマヒが回復してきたのかわかりません。
また、関節を動かしていないと、関節が硬くなってしまう危険性があります。
ただし、過ぎたるは及ばざるがごとしで、過度の訓練が痛みを引き起こし、可動域は広がっても、痛みのために動かせない、ということにもなりかねません。
動作の訓練は、障害によってできなくなった動作を、健康なときとは異なった方法でできるようにするものです。
初めて体験する体の使い方なので、最初のうちは大変ですが、繰り返し練習し、覚えていかなくてはならない訓練といえます。
これらの訓練は機械も炉要しますので、主にリハビリルームで行なわれますが、それだけで終わってしまっては十分な効果は望めません。
大切なのは、訓練によってできるようになった動作を、日常生活でも実践することです。
リハビリルームで練習した動作を、積極的に生活のなかで行なうように努力することが大切なのです。
もちろん、あまりにも時間がかかる動作、あるいはその動作を行なうだけで疲れきってしまうような動作は別です。
無理のない範囲で、機能回復に努めればよいのです。
リハビリ専門病院のなかには、「患者さんにできることは、どんなことでも、時間がかかってもやってもらう」という方針の病院もあります。
しかし、あまりに厳格にこの方針を実行すると、患者さんに多大な努力を強要するだけで、それに見合った効果が得られないで終わってしまうケースが少なくありません。
生活のなかで行なう動作は、あらかじめ実用的なものであることを見きわめ、よく吟味しておく必要があります。
そのような中、最近、鹿児島大学医学部の川平教授等が手足の動きを改善するため、タッピングを併用した促通反射法を開発しました。
川平法と呼ばれる運動療法です。
実用的で、しかも効果的ということなので、またたく間に全国の先進的なリハビリ病院で行われるようになりました。
維持期の訓練
自宅に戻って、リハビリで回復した機能を維持しながら、社会復帰をめざす時期です。
せっかく取り戻した機能も、使わなければ再び失われてしまいます。
自宅に戻ってからも、根気強くリハビリを続けることが大切です。
ただ、病院などで医療スタッフに見守られながら行なうのと違って、自宅でのリハビリは患者さん自身がしっかりと目的意識をもっていないと長続きしにくいものです。
リハビリといっても、この時期になれば特別な訓練は必要ありません。
着替えや食事など、日常生活における動作を積極的に自分で行なうことが、そのままリハビリになるのです。
たとえば、回復期までの訓練で歩けるようになっていれば、できるだけ屋内・屋外を歩くようにします。
散歩などは、身体能力だけでなく、知的能力の回復にも効果があります。
もちろん、屋内にしろ屋外にしろ、家族や周囲の人が付き添って、転倒などの事故が起こらないよう注意する必要があります。
また、回復期までの訓練で歩くことができず、寝たきりや車椅子が必要な患者さんの場合、関節がかたまるのを防いだり、筋力の強化を図ることが大切になります。
とくに関節の可動域確保は、リハビリの全期間を通じて、とても大切なことです。
なお、知的機能は、発症後1~2年までは回復し続けるので、疲れない範囲でテレビを見たり新聞を読むなどして、脳を積極的に働かせるように心がけましょう。
このほか、維持期における生活の注意として、脳卒中の再発予防のために、きちんと血圧をコントロールすること、筋力が低下した体に負担をかけないために体重の増加に注意すること、定期的に通院して再発のチェックや回復度をみてもらうことなども大切です。
また、再発の予防にも努めてください。再発を繰り返すたびに、死亡率も高くなりますし、後遺症の度合いも強くなります。特に維持期になると、油断するケースが多くみられます。
リハビリの停滞期
どんなにリハビリに励んでも、半年過ぎる頃に停滞期に入ることが多いようです。
理学療法士や作業療法士、あるいは言語療法士などのリハビリのプロからも、これ以上大幅な回復が望めないと言われれば、なにクソと思う反面、意気消沈してしまうでしょう。
その上、担当医からも同じようなことを言われれば、絶望感に苛まれてしまうはずです。
確かにプラトーと呼ばれる停滞期は下肢で7~8ヶ月ぐらい、上肢で11ヶ月前後に入ると言われています。
手や指でも1年ほどで限界に近づくようです。更に失語や失認などの高次脳機能障害も伴えば、いくら機能訓練を行っても相応の回復は期待できないと断言されてしまいます。
でも、それは本当のことでしょうか?人間は自然界ではひ弱でも、長い進化の過程をくぐり抜けてきました。
天変地異や疫病、ケガ、飢餓、ストレスなどなど、人の生存を脅かす様々な危険を乗り越えてきたのです。
ですから、脳梗塞や脳出血の後遺症にしたって、回復しないことはないはずです。
人それぞれ治癒力は違います。
強い方もいれば長い時間をかけて徐々に回復していく弱い方もいます。
ですから、医師も理学療法士も作業療法士、あるいは言語療法士も予後を断言することはできないのです。
西洋医学に行き詰まったら、東洋医学を試してみる!
世界は東洋医学に注目し、真価を認めています。
WHO (世界保健機構)も推奨する鍼灸の適応症
【神経系】
神経痛、神経麻痺、痙攣、自律神経失調症、神経症、ノイローゼ、ヒステリー、脳卒中後遺症、頭痛、不眠症、めまい、肩首のこり
【運動器系】
関節炎、関節症、五十肩、リウマチ、筋膜炎、頸筋強直、頚腕症候群、むち打ち症、捻挫、腱鞘炎、腰痛、坐骨神経痛、外傷の後遺症
【循環器系】
心臓神経症、高血圧症、低血圧症、動脈硬化症、動悸、息切れ
【呼吸器系】
風邪、風邪の予防、咳嗽、気管支炎、気管支、喘息
【消化器系】
口内炎、舌炎、歯痛、胃腸炎、胃アトニー、胃下垂症、胃酸過多症、胆石症、肝機能障害、肝炎、 十二指腸潰瘍、下痢、便秘、痔疾患/dd>
【代謝内分泌系】
バセドウ病、糖尿病、痛風、脚気、貧血
【生殖、泌尿器系】
ネフローゼ、腎・尿路結石、膀胱炎、尿道炎、前立腺肥大症、インポテンツ、遺精、性欲低下、尿崩症
【婦人科系】
更年期障害、乳腺炎、白帯下、生理痛、生理不順、冷え性、不妊、逆子
【耳鼻咽喉科系】
中耳炎、耳鳴、難聴、メニエル氏病、鼻出血、鼻炎、蓄膿症、咽喉頭炎、扁桃腺炎
【眼科系】
眼精疲労、仮性近視、結膜炎、疲れ目、かすみ目、ものもらい
【小児科系】
小児神経症、夜泣き、かんのむし、消化不良、偏食、食欲不振、不眠、小児喘息、アトピー、耳下腺炎、夜尿症、虚弱
※現代学的に調査したものではなく、経験的、歴史的な見地から認めたものです。
脳梗塞や脳出血の後遺症の治療にはリハビリが最優先されます。
運動麻痺でも感覚麻痺でも、思うようにしゃべれないという構音障害や言葉を失ってしまうという失語症などの言語障害でも、飲み込みにくいという嚥下障害でも、全て専門の医師の指導の下、理学療法士や作業療法士、言語療法士などのリハビリのプロが行っています。
ところが、保険で積極的な介入ができる発症後6ヵ月を経過しても、十分な回復が認められないケースを多々みかけます。
この理由の多くは痙縮が大きな壁となって効率的なリハビリを阻んでいるからです。
発症後3~4週間経つと、筋肉が硬くなり関節の運動を困難にさせるのです。
したがって、痙縮が発生しない時期にリハビリを開始するのがベストなのですが、日本では再発を心配して安静にさせることが多いのです。
確かに再発は怖いのですが、これではリハビリによる早期の回復を逸してしまいます。
ところが、欧米では発症後可能であれば直ぐにでもリハビリを行います。
CI療法と呼ばれています。
例え意志のままに動かせなくても、何度もトライすれば少しは動くようになります。
そうなればしめたものです。
本格的なリハビリを行う際には、相当動かせる状態になっています。
スムーズなリハビリが期待できるのです。
6ヵ月後には自分のことは全部自分でできるようになっているかもしれません。
欧米でCI療法が普及しているのは社会復帰を最大の目的にしているからです。
その支援をするのが、鍼灸です。
発症して間もなくは全く手足を動かせない方も多いことでしょう。
その際、手足の要穴(効果的なツボ)や手足の末端に刺激を与えることで、随意運動が行えるように助けます。
このことは世界保健機構(WHO)も認めています。
脳の可塑性
近年、脳の可塑性についての論文が盛んに報告されています。
これは脳卒中の後遺症にもあてはまります。
事実、当院に通われる患者さんの多くは数年前に発症した方ですが、大なり小なり改善しているのは確かです。
杖なしで歩けるようになった方、車いすが不要になり自分の足で歩けるようになった方、肘が伸びるようになり速いテンポで歩けるようになった方、手や指が開くようになってゴルフのクラブやコップが握れるようになった方、視野が広がって半盲から脱出できた方、言葉がすらすらしゃべれるようになった方、痺れや痛みがとれた方、数え上げたらきりがないぐらいの改善例があります。
これらの方々は専門医からリハビリを続けても現状維持がいっぱいと言われた方ばかりです。
専門家の意見は貴重ですが、時として夢も希望も打ち消してしまいます。
これではリハビリを行う意欲は失せてしまいます。
脳卒中の患者さんの多くはうつ気味です。
それまで出来ていたことが急に不可能になってしまうのですから、当然の成り行きでしょう。
眠りが浅い、あるいは途中覚醒してしまうケースが多いというのも、それを如実にあわらしています。
単に高次機能障害という言葉では片づけられません。
うつ状態になると、セロトニンやアドレナリン、ドーパミンをはじめ、脳内の伝達ホルモンの分泌が低下するばかりか、筋肉を動かすアセチルコリンの分泌も減少しています。
その上で追い打ちをかけられるような言葉を浴びせられたら、運動機能も更に低下してしまいます。
プラトー状態が続いているという現実もありますが、冷たいと思われなくもない言葉が回復を遅らせる場合も少なくないでしょう。
プラトー状態はない
でも、プラトー状態から脱出して、更なる改善が見られる例も少なくありません。
したがって、病院の専門家とて、現行のリハビリでは改善は望めないと言うのが正しい見解でしょう。
西洋医学が全て勝っているとは言えません。
救急医療は目を見張るものがあります。
昔でしたら命を救えないことの方が多かったでしょうが、現在は生還する患者さんの確率が高くなっています。
知識や技術だけではなく、使命感を持った立派な救急救命医です。
看護師さんや技師さんも然りです。
その後の急性期リハビリや回復期リハビリも必須であることには違いありません。
但し、何度も繰り返しますが、6ヶ月過ぎたらどれほどリハビリに励んでも現状維持が関の山という言葉は禁句です。
西洋医学という土俵で相撲をとっても更なる回復が望めないのなら、他の土俵に移るべきなのです。
そう、東洋医学という土俵があるのです。この土俵で一緒に相撲というリハビリをしませんか。
そこでご紹介したいのが「活脳鍼」です
脳梗塞や脳出血の後遺症対策に特化した当院独自の鍼灸治療
活脳鍼は脳機能の活性化に有効な治療法です。
「活脳鍼」は顔面のツボに鍼を刺し、三叉神経を介して脳の血流を促進させ、脳機能を高めます。
特に手足の運動マヒや感覚マヒ、言語障害、嚥下障害、視覚障害といった脳梗塞や脳出血の後遺症の改善に効果的です。
活脳鍼は貴方のリハビリの効率化を支援します。
脳梗塞や脳出血の後遺症は、6ヶ月目に大きな壁に突き当たると言われています。
つまり、それ以後は大幅な回復は望めないと言われているのです。
でも、それは果たして本当のことでしょうか?どんな病気でも早期に発見して早期に治療を施せば予後が明るくなるのは当然です。
脳卒中の後遺症でも同じようなことが言えます。
活脳鍼も痙縮が軽いうちならば、とんとん拍子に回復が見込まれるからです。
それでも、長い年月が経った脳卒中の後遺症でもあきらめることはありません。
発症後5年ぐらい経過した運動麻痺や感覚麻痺でも改善する可能性が高いからです。
微動だもしなかった手足が、活脳鍼の治療の後15分ぐらいで動き出すことも稀ではないからです。
西洋医学の限界を感じたら、是非東洋医学に目を向けてください。
「脳鍼」は長患いの後遺症でも動く感じる喜びを体験して頂いております。
動けば光が見えます。
その感動が脳内の伝達ホルモンの分泌を活発にさせ、更に動きに拍車がかかります。
脳梗塞や脳出血の後遺症対策に特化したリハビリマッサージ
リハビリマッサージでスムーズな動きも!
脳梗塞や脳出血の後遺症を改善するために開発したリハビリマッサージです。
通気法という本院独自のリハビリマッサージです。
特徴的なのは円皮鍼を筋肉を伸ばす作用のあるツボに貼り付け、その上で運動療法を行うことです。活脳鍼や手足への鍼灸で痙縮が緩んだところでの運動療法なので、相乗的な効果が期待できます。続けているうちにマンウェルニッケ姿勢やジャックナイフ現象が緩和していきます。
当院独自の治療法を知りたい方は次をご覧ください。
※本ホームページは顧問医の監修のもとに制作されました