脳梗塞や脳出血の【麻痺】、脳血流を高めよう!

「活脳鍼」

脳卒中の後遺症に効果的

活脳鍼の作用機序

「活脳鍼」の作用機序についてご説明します。

活脳鍼は脳卒中の後遺症に優れた効果を発揮します。

そこで、科学的にその裏付けを取るように様々な実験を行いました。

その結果、脳血流を高め、脳梗塞や脳出血の麻痺を改善することが判明しました。

活脳鍼の概要

「活 脳 鍼」とは中国の伝統的な鍼治療である「 眼鍼がんしん 」に、唇への鍼治療「唇鍼しんしん」を組み合わせた新しい鍼の治療法です。

主に脳卒中の後遺症を対象にしています。

眼鍼は目じりからコメカミにかけてのツボに鍼を刺します。

また、唇鍼は唇の周りの皮膚に鍼を刺します。

更に症状により顎や耳の周りのツボを利用することもあります。

世の中が時代と共に変わるように、活脳鍼も常に進化しています。

勿論、極細の鍼を使用していますので、痛みを感じることは殆どありません。

但し、障害が強い場合は、太目の鍼を使用することもあります。この際は、多少鈍痛を感じることがあります。

それでも耐えられない程の痛みではありませんので、ご安心ください。

活脳鍼の神経伝達回路

自分の意志で動作することを随意運動といいますが、この運動には前頭葉にある右背外側前頭前野を基点とし、運動前野→一次運動野→骨格筋の動き、といった一連の刺激の流れが必要です。

基本的には右背外側前頭前野は行動するという意志を発現させ、これを受けて運動前野は行動するためにはどのような運動をすればよいのかプログラミングします。

それが一次運動野に伝わり、結果として骨格筋が意志通りに動くということになります。

「唇鍼」の刺激は、唇の周りに分布する三叉神経第2枝と第3枝を介し、
「眼鍼」の刺激は三叉神経第1枝を介して、視床に運ばれます。

その他、顎や耳の周りにも鍼治療を行いますので、顔面神経や迷走神経にも刺激が伝わります。

活脳鍼は「唇鍼」「眼鍼」、その他のツボを合わせた当院独自の鍼灸治療なのです。

三叉神経
大脳新皮質 大脳皮質

活脳鍼の刺激は視床からは別の神経に乗り換え、右背外側前頭前野を含む前頭葉に達します。

また、視床から伸びている神経を通して頭頂葉にも伝わります。

その他、臨床や実験で、側頭葉や後頭葉にも影響を及ぼすことが示唆されています。

勿論、全ての脳領域は様々な伝達システムで盛んに連絡を取り合っています。ここでは視床を介した神経回路に注目しています。 したがって、「活脳鍼」の刺激が、これらの神経回路を経て、脳を活性化することで、随意運動に必要な脳のシステムを再構築するのではないかと、考えています。

光トポグラフィーによる検証

光トポグラフィーと呼ばれる脳血流測定器を使用した検査では、「唇鍼」により前頭葉や頭頂葉の血流が徐々に低下し、鎮静化に向かわせているようでした。

光トポグラフィー検証

逆に「眼鍼」により脳の前頭葉から頭頂葉にかけての血流が顕著に増加し、活性化を示唆していました。多くの症例で同じ傾向を示していましたので、「唇鍼」や「眼鍼」の脳血流に与える影響は、まず間違いありません。この鎮静化と活性化が脳の機能を高めるために必要な条件と考えています。真の意味で脳の活性化とはこの状態を指すのではないでしょうか。

脳波計による検証

脳が活動しているときはβ波が、逆に脳がリラックスしているときはα波があらわれていると推測できます。

このことは非常に重要で、脳は活動と落ち着きが適度にあらわれていると正常な機能が営めます。

また、これは活脳鍼でも必要不可欠な現象と言えます。

目的とする運動が容易に行える可能性が高くなると推測できます。

実際、活脳鍼施術後の運動療法では背外側前頭前野を含む大脳全体にα波があらわれ、かつ前頭葉にβ波の増加が認められます。特に側頭葉のβ波は顕著です。

この傾向は多くの症例で確認されました。

また、この現象はあくまでも活脳鍼を行った場合に起こることで、活脳鍼施術前に運動を行っても脳波に顕著な変化はみられません。つまり、α波もβ波も大きな増加は確認できませんでした。光トポグラフィーが示すように、脳が活性化した賜物でしょう。


筋電図による検証

活脳鍼を行う前の筋の放電量と、行ったあとのそれと比べると、明らかに行ったあとの方が強く、筋力がついたことを示唆していました。

脳卒中の後遺症について導かれた仮説

人間は脳卒中を起こすと、安静を保たせるために手足を動かせないようにするのではないかと考えられます。

ただし、そのシステムは脳血管の詰まりなり出血なりが落ち着いたら出来るだけ早く解除されなければなりません。

長引くと片麻痺や言語障害などの後遺症を残してしまうからです。

ところが、命の危険が去り意識が戻ってくると、自由に手足を動かすことができない自分を自覚するようになります。

そうなると、「手足は動かないという悲観的な思い込み」をするようになります。

これが、片麻痺の回復を長引かせている原因のひとつと考えているのです。

更に頭頂葉に悲観的な思い込みが蓄積されると、動かそうとする気力も失われてしまいます。

それどころか、前頭葉の運動野に働きかけて、過剰な筋の防衛反応を推し進めてしまいます。

その結果、腱の異常反射が亢進し、やがて筋肉の痙縮や固縮に発展するのではないでしょうか。

発症直後は安静にさせる自己防衛反応

そこで、私はこれらの検査から得られた情報と、今までの臨床経験から次のようなことを推測するに至りました。

人間は病気になったりケガを負ったりすると、休めという危険信号を発して積極的な活動を制御させます。

肉体や精神がオーバーワークになると痛みや凝り、疲労感といった症状をあらわしますので、この現象は誰にでも理屈抜きで感じられます。

同じように脳梗塞や脳出血の発作を起こしたときも安静を保たせるために手足を動かせないようにするのではないかと私は考えています。

ただし、そのシステムは脳血管の詰まりなり出血なりが落ち着いたら出来るだけ早く解除されなければなりません。

長引くと片麻痺や言語障害などの後遺症を残してしまうからです。

花粉症やリュウマチも過剰な防衛反応から発症する自己免疫疾患です。

新型インフルエンザは若者の間に死者が集中するといわれていますが、これも過剰な抗原抗体反応が原因です。

新型コロナもサイトカインストームによる過剰な炎症が重症化や死因に挙げられます。

このように生体は時としてブレーキがかからない自己防衛反応に走るのです。

脳卒中も同じようなことが言えるのではないでしょうか。

確かに大きな原因は脳の運動に関わる領域が壊死を起こし、手足の筋肉に刺激が伝わらなくなっていますので、動かせないとしても不思議ではありません。

ただ、死滅した領域は限りがあります。

正常な機能を持つ脳細胞も少なくないでしょう。

そこから神経が手足に伸びているはずです。

伝達力は低下したとしても、手足は動かせるはずです。

実際、活脳鍼を行うと、物の見事に運動能力が甦ります。

程度の差はあれ、たったこれだけの刺激で動き出すとは何とも不可解な現象です。

恐らく血流改善による脳細胞の一時的な健全化傾向でしょう。

それでも、この結果から推測されることは、伝達系は機能を残しているということです。

となると、後遺症の回復を遅らせている要因は他にもあるということに行き着きます。

後遺症は過剰な防衛反応

つまり、脳卒中の後遺症は過剰な防衛反応が引き起こしていると考えられるのです。

ですから、本当は生命にかかわる事態から脱したら速やかに過剰な防衛反応を解除する必要があるのです。

ところが、命の危険が去り意識が戻ってくると、自由に手足を動かすことができない自分を自覚するようになります。

そうなると、多くの方はショックのあまり意気消沈して無気力状態になってしまいます。

本来ならば、防衛反応に感謝するとともに、そのシステムを解除するように働きかけなければならない時期になってもです。

だから、その解除を困難にしているのは思い込みという自分の心にもあるのです。

それどころか、脳の運動野は錐体外路系に命令を出して、関節の動きをセーブするために筋肉を痙性麻痺へと導きます。

実際、最初のころ筋肉は弛緩していますので、不用意に身体を動かすと打撲や脱臼、骨折の危険性があります。

ですから、痙縮という形で危険回避するようにするのでしょう。

このように脳梗塞や脳出血になると、悲観的な思い込みから痙縮という過剰防衛反応が、二重三重に回復を妨げるようになるのです。

と言っても、それを解除するのは並大抵の努力ではできません。

いくら自分に言い聞かせても、何かの方法で脳を開放しようとしても、抗うつ剤でも精神安定剤でも難しいでしょう。

人間の脳は進化の過程で前頭葉が発達しました。

これが知能と想像力に満ちた人間らしさの源になっているのですが、時にしてマイナス面も生んでしまいます。

考え過ぎによるうつ病やノイローゼもそうですし、上述した思い込みもそうです。

熟練した催眠術者が、“手足が動かせない”と暗示をかけたら、ものの見事に歩くことも手を振り回すことも出来なくなってしまいます。

ですから、脳が、もう手足は動かせないと決め込んでしまったら、そう容易く過剰な防衛反応を解く方法は見つけられません。

ところが、まだ方法は残っているのです。

その前頭葉の錠を開ける鍵を持っているのが活脳鍼なのです。

以上が私の大まかな臨床結果から得られた仮説ですが、それを理解してもらうには、脳と神経の関係に触れなければなりません。

「活脳鍼」は記憶を甦らせ、右脳を開放する!

この悲観的な思い込みを引き起こしている場所が、脳の前頭葉の右側にある右背外側前頭前野で、それを解消させるのが、「活脳鍼」なのです。

背外側前頭前野は左右にありますが、右は悲観(不快)予測、左は前向き(快)予測を司っています。

「活脳鍼」の刺激が、右背外側前頭前野を含む大脳全体にα波を発生させ、リラックス状態にすることで、「手足は動かないという悲観的な思い込み」を忘れさせ、同時に前頭葉のβ波も増強させ、"動かすぞ!“という意思を発現させます。それが運動野に伝わり、実際の行動が始まるのです。

また、動作のヒントはβ波に満ちた側頭葉からもたらされます。

側頭葉には自由に手足を動かしていた過去の記憶が蓄積されています。

側頭葉が活発に働くと、自由に動き回っていた頃の記憶を甦らせ、忘れかけた手足の動かし方を思い出させるのではないかと、考えているのです。

つまり、側頭葉の活性化は活発に動き回っていた頃の記憶を甦らせ、忘れかけた手足の動かし方を思い出させるのではないかと、考えているのです。

それだけではありません。

“動かすぞ!”という意思は頭頂葉の同調も必要です。トポグラフィーのセンサーの位置は前頭葉から頭頂葉に及んでいます。実際、頭頂葉の血流も増加していました。頭頂葉も活性化しているはずです。頭頂葉の活性化は、積極的に手足を動かそうと努力する気持ちを高めます。

頭頂葉は前頭葉の運動野から指示された随意運動をスムーズに行えるように組み立てる機能があるからです。

活脳鍼の作用機序の考察

目や口、或は頬の皮膚に分布する痛みや温度の感覚を司る三叉神経は、三叉神経脊髄路核につながり、この中継点を経て脳の中心部にある視床に到ります。

視床から体性感覚野のある後頭葉に刺激が伝達されるのは当然ですが、

前頭葉と視床の間には別ルートの神経が走っていますので、前頭葉にも刺激が伝わるようにできています。

色々な神経核の集まりで運動や認知を司る大脳基底核から視床を介して前頭葉に至るループも確認されています。

したがって、前頭葉や後頭葉、その他の脳領域の間でも情報を取り合っているのは言うまでもありませんが、視床は前頭葉とのつながりが強いと考えられます。

そこで、眼鍼の刺激ですが、三叉神経を介して視床に達し、この別ルートの神経を通って前頭葉のに強い刺激を与えたと考えました。

そして次に、前頭葉の右側に映し出されたα波成分増加は何を意味するのかを考察しました。

自分の意志で動作することを随意運動といいますが、この運動には背外側前頭前野→運動前野→一次運動野→骨格筋の動き、といった一連の刺激の流れが必要です。

背外側前頭前野は行動するという意志を発現させ、これを受けて運動前野は行動するためにはどのような運動をすればよいのかプログラミングします。

それが一次運動野に伝わり、結果として骨格筋が意志通りに動くということになります。

例えば、石を拾うという動作を想定しましょう。

先ず、背外側前頭前野が石を拾いたいという気持ちを起させます。

次に頭頂葉の支援を受けながらどのような動作をすれば石が拾えるかをプログラミングします。そして、組み立てられた動作を骨格筋が実行するということになります。

ところが、石を拾うことができなかったという経験が過去にあったら、右背外側前頭前野はどのような思いを巡らせるでしょうか。

恐らく、無理だと思い、石を拾うという行動は選択しないはずです。

その悲観的な予測が強ければ強いほど、左背外側前頭前野が働かなくなってしまうからです。

私は、これと同じようなことが脳卒中の片麻痺でも起こっているのではないかと思っています。

前頭葉にα波、次第にβ波も増加

α波が前頭葉の右背外側前頭前野にあらわれたとき、筋電図の電気量が増えるとともに、明らかに指や腕の曲げ伸ばしが力強く円滑に行なわれていました。

α波は精神が安寧で心が開放された時に出現しやすいといわれています。

すなわち、様々な固定概念や心の抑制を解放す能力を有しているともいえるのです。

ですから、活脳鍼のうち唇鍼によりα波を発生させる刺激が前頭葉に伝わり、それを受けた背外側前頭前野がリラックスし、手足の運動を抑制させているシステムを解除させたと考えられるのです。

但し、まだまだ謎の点が多いので断定はできません。

眼鍼においては、血流増加という現象があらわれます。しかも左右どちらのこめかみ、つまり左右どちらの三叉神経に刺激を与えても、血流の増加は左右の頭頂葉から後頭葉にみられます。脳梁を介して刺激は瞬時に反対側の脳にも伝わるのでしょう。脳を活性化するのは確かですが、その活性化とは失った機能を補う、あるいは元の状態に戻というように解釈するのが妥当かもしれません。

更に次第に前頭葉にβ波があらわれたということは、α波による解除信号を受けて運動野が活発に活動するようになったということです。つまり、運動前野→一次運動野→骨格筋の動き、という通常の運動の仕組みが復活したのです。多くの患者さんは、手足の動きは活脳鍼を行った直後より1~2時間後のほうが良いといいますので、更に時間をおって脳波検査をしていたら、前頭葉のβ波の勢いが強くなっていったかもしれません。これらのことはあくまでも仮説ですが、活脳鍼を行った後に起こる手足の筋力の増強や俊敏さの増加など、今までの臨床経験をリンクして推察すると、どうしても、このような結論に至ってしまうのです。

快刺激で脳の鎮静化

活脳鍼を行う際、三叉神経だけではなく、求心性の顔面神経にも刺激を与えるようにしています。

活脳鍼が前頭葉や頭頂葉からの快感刺激を島皮質や大脳辺縁系の前帯状回や扁桃体に与え、求心性の顔面神経への刺激が中脳網様体や小脳へ緩和刺激を与えます。

これが一番効果的な施術になります。

次に当院では先ず鍼で深部筋に刺激を与えます。

またお灸で瞬間的な熱刺激を与えます。

感じ方はチクン程度です。

深部筋への刺激は大脳の知覚野に運ばれる一方、その一部は中脳脳幹網様体にも伝わります。

その情報は整理・統合された上で大脳の知覚野に伝達されます。

特に深部筋の筋紡錘や腱紡錘への刺激は、更に小脳から島皮質や前帯状回や扁桃体が存在する大脳辺縁系にも容易に到達します。

つまり、中脳脳幹網様体は正確な現状を全脳に伝えるのです。

もはや運動制限するほどの不安も恐怖もないから、過剰な痛みやシビレ反応は必要ないと伝達しているようです。

お灸によるチクン刺激は反射で屈筋を緩めるだけではなく、下行性疼痛抑制系と呼ばれる鎮痛システムも作動させます。

中脳などの脳幹から手足への神経伝達を抑制して、痛みを緩和させます。

特に関節の運動痛や痙縮からの筋肉痛に奏功します。

タッピングや軽擦、振顫、圧迫などの手技を加えると更に効果的です。

どの手技も生体には快感を与えるようにします。

このように中脳網様体や小脳への刺激は島皮質や前帯状回、扁桃体にも影響を与え、快刺激と判断させることで、痛みやシビレを鎮静化できるのです。

筋が弛緩したり、痛みが和らいできたら、腹式呼吸を繰り返しながら、気持ちが良いと脳に言い聞かせてもらいます。

脳の快感神経から不快な気持ちを抑制し、やる気を起こさせ、痛みやシビレをも軽減するようにβエンドルフィンやドーパミンの分泌が高まるからです。

また、島皮質は味覚や臭覚、聴覚とも密接な関係があります。

ですから、美味しいものを食べたり、香しい香りを嗅いだり、うっとりする音楽を聴いたりすることも必要です。

当院ではオルゴールミュージックを流し、ラベンダーやオレンジ、黒胡椒などの精油を用いたアロマテラピーを行っている理由はここにあるのです。

その他、左背外側前頭前野(左DLPFC)が影響を与えていることも考えられます。左背外側前頭前野の機能低下は痛み感覚を増幅させたり、幻の痛みやシビレを発生させたりすることが知られています。慢性化した腰痛や坐骨神経痛の痛みやシビレは左背外側前頭前野を鍛える認知行動療法で解決をみています。

活脳鍼は脳血流を増加して左背外側前頭前野も活性化しますし、前頭葉にβ波を発生させますので、この認知行動療法に近い作用を生むでしょう。

「活脳鍼」は潜在意識と健在意識の架け橋

見方を変えると、活脳鍼は潜在意識と顕在意識の橋渡しをする作用があるようにも思えます。

意識下で行った様々な動作は潜在意識としてプールされ、やがて意識しなくとも瞬時に潜在意識の中から目的に適う動作を抽出し、実行に移すことができるようになります。

これが、我々が何の疑問も持たず、日頃行っているしぐさなのです。

ところが、脳卒中により、脳神経が壊死してしまうと、この機序が寸断され、無意識状態での動作が出来なくなってしまうのではないでしょうか。

その結果、後遺症として様々な運動障害が発生するのでしょう。

脳卒中になっても、全ての運動野が壊死を起こしてしまうことは極々稀です。

もし、あるとすれば、それは死の兆候で、後遺症を論ずる余地は殆どありません。

したがって、脳卒中の後遺症で悩む多くの方の運動野には、健全な組織も十分温存されています。

・それどころか、病巣の神経のネットワークも直ぐに再構築に向けて歩み出すはずです。

だとしたら、その運動野が運動神経を介して手足の筋肉を動かしても不思議ではありません。

でも、現実は動かない、あるいはスムーズに動かせないという状態が続きます。

これは、悲観的な予測が蓄積され、且つ行動の意思が薄れることにより、潜在意識にプールされている過去の記憶の抽出が困難になってしまった状態と考えられます。

この状況から脱出するためには、右背外側前頭前野や頭頂葉、側頭葉、運動野の連係プレーを再構築する必要があります。

前述の通り、右背外側前頭前野は“どうせ動かせない”という悲観的な思い込み、つまり不快な予測をしてしまう場所です。

その不快な予測は頭頂葉に伝わり、やがてこびり付いてしまいます。

こうなると、潜在意識の中に仕舞い込まれている過去の記憶を自然に思い出せなくなってしまいます。

潜在意識の多くは側頭葉にあり、それを表現させる機能は右背外側前頭前野や頭頂葉にあると考えられるからです。

活脳鍼は右背外側前頭前野や頭頂葉、側頭葉の活性化を呼び、潜在意識と顕在意識の橋渡しをし、無意識による動作を甦らすのではないでしょうか。

五感を磨き「大脳新脂質」を開放!

活脳鍼の刺激は視床を介して大脳に影響を与えますので、視床の存在は注目に値します。また、視床は身体の恒常性を司る大切な器官ですし、喜怒哀楽などの情動もコントロールしています。

したがって、現在視床の隠れた機能の追究も課題となっています。

リスのような生き物から霊長類に進化し、途中北京原人やネアンデルタール人が淘汰される中、飛躍的に進化した生物がホモサピエンス、即ち人間だと言われています。

その過程で人間は大脳新皮質を極度に発達させました。

特に現代人は、前頭葉の占める割合が大きくなっています。

そのため、人間はパスカルが「考える葦」と表現した通り、自然界では弱々しい存在ですが、豊かな思考力を持つことにより、生物の頂点に君臨できるまでになりました。

大脳新皮質は絶えず脳幹や大脳基底核、大脳辺縁系から本能や感覚的な情報を受けています。

また、その情報を適当に処理し、生活に支障がないように努めています。

ところが、この機能が狂うと、外界からの刺激に対し、柔軟に対応できなくなってしまいます。

精神神経系の不調どころか、自律神経系や内分泌系、免疫系にも悪影響を及ぼし、色々な病気に罹りやすくなってしまうかもしれません。

犬は脳卒中になっても後遺症が残ることは稀です。

直ぐに回復してしまうことが多いからです。

たとえ病気になったとしても、絶食したり、あるいは草や土を薬代わりに食べたり、太陽光線を浴びたりして、自然治癒力を増強することにより、早期の回復をみています。

恐らく、命を落とす原因としては、老衰かケガ、捕食者に襲われることが圧倒的でしょう。

このように、本来生物は病気に罹らないようにするシステムや、強い回復力を持っているはずです。

優れた危機回避能力も持ち合わせていることでしょう。

ところが、人間はどうでしょう? 脳卒中は人間の専売特許のようですし、酷い後遺症を残すことが多々あります。

また、人によっては回復不能のこともあります。

大脳新皮質の進化に脳血管が追い付いていない、あるいは塩分や脂質を摂り過ぎ、更には大脳新皮質が最強の司令塔なので、他に代替的な機能を持つ脳域がないことなどが主たる理由に挙げられていますが、果たしてそれだけでしょうか。

人間は様々な病気にも罹患しやすく、難病と呼ばれる疾患にも脅かされています。

これらのことを考えると、人間は多くの病気と闘わなければならない宿命を持って、この世に生まれてきたのかもしれません。

そこで、その根源が、もし人間と動物との脳の違いにあるとすれば、大脳新皮質の凄まじい進化に他ならないでしょう。

特に現代人の大脳新皮質は概念や常識にとらわれすぎて、外界からの刺激に対して抑制的、または否定的に働く傾向にあるのではないでしょうか。

また、ストレスやオーバーワークで疲弊していれば、鈍感になっているかもしれません。

大脳新皮質が情報を的確に処理できなくなると、脳幹や大脳基底核、大脳辺縁系に正しい指令を送れなくなってしまいます。

うつ病や不安神経症のみならず、身体の恒常性維持もおぼつかなくなってしまいます。

それどころか、遺伝子レベルにまで影響を及ぼし、身体に不利なタンパク質を作り上げ、様々な難病を発生させてしまうでしょう。

それを解消するためには、理性だけではなく、五感を研ぎ澄ませ、得られる情報を味わい、堪能することが必要です。

つまり、脳幹や大脳基底核、大脳辺縁系の原始的な機能を高めることです。

脳幹に含まれる間脳には視床があります。

この視床は嗅覚を除き、体性感覚、視覚、聴覚などの感覚を感じ取り、大脳新皮質に運びます。

嗅覚は大脳辺縁系からです。

活脳鍼による感覚刺激は視床を経由します。

同時に聴覚や視覚の機能を高める治療も併用すれば、活脳鍼の効果が相乗的に高まるかもしれません。

アロマを利用すれば、嗅覚も刺激できます。

前頭葉の右背外側前頭前野の悲観的な思い込みが更に解消されるかもしれません。

脳幹や大脳辺縁系からの心地よい五感による刺激が伝わることで、麻痺や痙縮、痛み、シビレが緩和するばかりか、心身ともに健康な生き方ができ、様々な病気の早期改善にもつがるかもしれません。

それを期待して活脳鍼施術時は視覚や嗅覚、聴覚を刺激するツボも利用していますし、アロマテラピーも行っています。

治療室にはオルゴ~ルによる癒し曲が流れています。その音色を聴きながら、楽しいこと、軽快に動き回ったころのことを考えてください。側頭葉に働ききかけ、過去の記憶を甦らすことで

側頭葉に働ききかけ、手足の動きを軽やかにすることが目的です。

更にアロマテラピーも利用しています。バニラ精油の香りで解放感に満ちた積極的な心を誘導するのです。

そればかりではありません。バニラの香りは情報処理に働く後頭葉のV1領域と、動きに関わるhMT領域の血流量を上昇させます。これは同名半盲や複視の改善に役立つばかりか、運動能力の向上にも効果的です。

私達は目の前の物体の動きと、自分の動きを区別して認識することで姿勢や運動を制御し、目的に叶う運動ができるのです。つまり、バニラの香りは周囲の状況に合わせた身体のバランス感覚を養ってくれる可能性を秘めているのです。バニラの香りによりスピード感が高まるとの実験データがありますが、これは俊敏な動きに対応できる能力を示唆しているのかも知れません。これらは五感から生まれるクロスモーダル現象の応用です。

活脳鍼は痙縮や痛み、しびれにも効果的!

活脳鍼は三叉神経を介して脳の感覚野から運動野に刺激を与え、それが手足の運動を促進させるように仕向けます。

その効果は霊験あらたかにあらわれます。

ものの15分ぐらいの治療で数年来動かなかった手足が、急に動き出すことも稀ではありません。

ご本人もご家族の方も私達も感激してしまいます。

ところが、強い痙縮があると、その効果が十分に発揮できない場合があります。

脳の運動野から関節を動かすための電気信号が末梢に届いても、筋肉が固くなりすぎているとスムーズに関節を動かすことができません。

これが回復を遅らせる大きな原因となっています。特に脳梗塞や脳出血の後遺症では、手足の屈筋が痙縮を起こし、思うように指や手首、肘の関節が伸ばせないという方を頻繁に見かけます。

伸筋の筋力も落ちているので、伸展不良に拍車をかけています。

ですから、強い痙縮があると、ブレーキとアクセルを同時に踏んでいるよう状態でリハビリをすることになるのです。

これが指を伸ばせない、手の平を広げられない、肘や肩が挙げられないという障害を発生させているのです。

そこで、当院では痙縮や固縮の緩和にも積極的に取り組んでいます。

活脳鍼のうち唇鍼も役立ちますが、それ以上に非麻痺側への刺激は、痛みやしびれの緩和に役立つばかりか、反射的に患側の筋肉を緩めます。

更に患側の伸筋に鍼刺激を与えた状態で屈筋群を伸ばせば、痙縮や固縮の改善につながります。

当院ではこの一連の操作をボドックス様手技と呼んでいます。

更に当院独自のリハビリでも痙縮や固縮の緩和に努めています。

また、脳梗塞や脳出血の後遺症は頑固な痛みやシビレも発症します。

痛みは比較的少ない症状ですが、特徴的なのは痛みの感じ方が激しい点です。

シビレも頑固です。

これは、坐骨神経痛や頭痛といった通常の痛みやシビレと異なり、精神的な不快感や苦痛も伴いますので、健康な人々には想像がつかないぐらい悲惨です。

これは脳の感覚野が勝手に痛みやシビレがあると判断していることが原因ですので、病院の治療でも難儀しているようです。

一説によりますと、手足に分布する感覚神経への刺激が脳の感覚野にシッカリ伝わらないことで、感覚野が異常興奮してしまうのが原因とされています。

これは余計な動きを抑制する一種の危機回避反応と言えます。

手足が思うように動かせない状態で過激な運動をすれば、筋肉や関節にダメージを与えてしまうどころか、打撲や捻挫、あるいは骨折を起こしたりして取り返しのつかない事態を招いてしまう可能性があるからです。

脳が意識、無意識に関わらず不測の事態に不安と恐怖を感じているようです。

痙縮が運動野の防衛反応ならば、痛みやシビレは感覚野の防衛反応とも言えます。

全身をコントロールしている脳ならではの制御法です。

したがって、この解消には、先ずは末梢の感覚を脳の感覚野が明確にキャッチできるようにしなければなりません。

また、脳にこびり付いた不安や恐怖を取り除く必要もあります。

中枢並びに末梢のからの刺激を感受させることはそれほど難しいことではありません。

活脳鍼の刺激は三叉神経を介して橋・中脳を上行して視床に運ばれ、そこから新たな神経に乗り換えて大脳皮質中心後回感覚野に届きます。

また、手足の痛覚や温覚は鍼やお灸の刺激で大脳皮質中心後回感覚野を興奮させます。

これにより脳の感覚野から末梢に続く神経回路の伝達が活性化できますし、反復刺激を与えれば、新しい回路の構築も可能です。

厄介なのは脳にこびり付いた不安や恐怖の解消です。

そのカギは大脳辺縁系の島皮質にあると考えています。

島皮質は不安や恐怖といった感情を意識の有無に関わらず、大脳皮質に運びます。

更に同じく大脳辺縁系に属する前帯状回や扁桃体にも伝達されると、その感情の度合いがヒートアップしてしまいます。

前帯状回や扁桃体は情動の中枢と言われているぐらいですので。

特に扁桃体が過剰に反応すると、トラウマのような状態を起こしてしまいます。

この機序は、脳卒中の後遺症でも同じことが言えます。

島皮質が手足の筋肉が麻痺しているという状態を危険信号と捉え前頭葉に伝達すると、感覚野が異常興奮を起こし、運動制限させるように痛みやシビレを発生させます。

しかも島皮質は体性感覚や骨格運動とも深いかかわりがありますので、この運動制限を助長させます。

当然、前帯状回や扁桃体にも緊急事態が伝わり、潜在意識の中に仕舞い込んでしまいます。

そうなると、絡んだ糸のように緊急事態の解消ができなくなります。

帯状回や扁桃体が興奮しやすい状態になると、絶えず島皮質から前頭葉に不安や恐怖信号を送ることになり、恒常的な痛みシビレをあらわすようになります。

臨床でも、多くの場合中枢性の痛みやシビレといった後遺症は、回復期に頻繁に観察されます。

つまり、動かせない手足を自覚したときです。

この面からも、中枢性の痛みやシビレは、手足の運動能力が低下した際に発生する感覚野の防衛反応と推察されるのです。

それを助長するのが前頭葉の右背外側前頭前野の悲観的な思い込みと左背外側前頭前野の機能低下です。

手足を動かそうとすれば痛みがでる、だから動かす気持ちにはなれない、このような心理状態にしてしまうのです。

生理学的には手足を動かせないという感情がセロトニンやアドレナリンなどの脳内ホルモンの伝達を低下させているのでしょう。

活脳鍼は複視や同名半盲にも効果的!

脳幹から眼球の筋肉に延びる神経は焦点を合わせるだけではなく、瞳孔の開閉や目の周りの筋肉の動きも調整しています。

更に脳幹は平衡感覚にも影響を及ぼします。

したがって、脳幹の橋や中脳、延髄で梗塞や出血が発生すると、物が二重に見えるという複視や、目に入る光の調整力が低下する羞明、まぶたが垂れ下がる眼瞼下垂などの症状をあわらします。

更にめまいといった平衡感覚の異常も起こします。

また、後頭葉には視覚の中枢があり、目の網膜に映った像の色や形、動き、奥行きなどを認識し、その像が何であるかを判断します。

この後頭葉に梗塞や出血が発生すると、損傷を受けた側の機能が失われ、そこに像が反映されなくなります。したがって、片側の視野が欠損することになります。

複視も同名半盲も難治な疾患で、確立した治療法がありません。

多くの場合、自然回復を待つのみです。

それでも活脳鍼を行うと、複視も同名半盲も改善することが臨床で明らかになっています。

活脳鍼の刺激は視床に伝わりことは明らかで、それが脳幹や側頭葉、後頭葉に波及するのは容易に推測できます。

活脳鍼の複視や同名半盲に対する効果は別のページで詳しく説明しています。

ご興味のある方は下記からご覧になってください。

高い効果と安全性を兼ね備えた活脳鍼

活脳鍼は、すでに確立した治療法である眼鍼と、まったく新たな鍼法である唇鍼を組み合わせたものです。

人体で最も脳との結びつきが強いまぶたと唇への治療を同時に行なうことによって高い治療効果が得られ、しかも、単に効果が高いというだけでなく、安全性も高いという特徴があります。

一般の眼鍼では、胃と肝、上焦、下焦という4つのツボに鍼を刺します。

左右それぞれの目にあるので、合計8か所に鍼を刺すことになのですが、活脳鍼における眼鍼では、4か所に鍼を刺すだけでよいのです。

目の周りの4つのツボは左右それぞれの目の両端、つまり目頭と目尻の上下に位置しています。

ただし、右目と左目ではツボの位置が左右入れかわっていて、たとえば下焦の場合、右目では目尻側の下に位置していますが、左目では目頭側の上にあります。

左右の目全体では、目頭側と目尻側に、それぞれ4つのツボがあるわけです。

活脳鍼では、このうち目尻側のツボだけを使い、目の機能に異常のない限り目頭側のツボは使いません。

目頭側に鍼を刺さない理由は、目頭側のまぶたは手でつまみにくいということや、痛いのと内出血を起こしやすいということです。

鍼は目の中心から外側に向けてまぶたに刺すのですが、つまみ方が悪いと眼球を傷つける危険性がある上、痛みや内出血というリスクも大いにあるからです。

実際には、十分な経験のある鍼灸師であればほとんど起こることはありませんが、少しでも危険性を排除するためには、刺さないに越したことはありません。

しかし、ここで問題になるのが、鍼を刺す数を減らしても、十分な効果が発揮できるかどうかです。

従来の眼鍼が8か所のツボに鍼を刺していたのは、それが最も高い効果が得られる方法だからです。

使うツボを半分に減らすためには、その効果を補わなければなりません。

それが唇鍼なのです。

すでに説明したように、臨床的に唇はこめかみ以上に脳に与える影響が高いうえ、鍼を刺す際の危険はこめかみよりはるかに低いのです。

そこで活脳鍼では、眼鍼の4つのツボに対応する位置のほか、正中線上の上下2か所、合計6カ所に鍼治療を行ないます。

この唇鍼の併用によって、より安全で効果の高い脳卒中後遺症の治療ができるようになりました。

最も最近では、更に効果を高めるため、翳風(えいふう)や頭維(とうい)などのツボも利用しています。

翳風というツボは顔面神経求心路から小脳や中脳を経て感覚野に刺激を伝える可能性が高いので、錐体外路に影響を及ぼし痙縮や異常反射の対策になると思われます。

後遺症によるマヒの回復は早期のリハビリが理想

脳梗塞や脳出血の後遺症は損傷を受けた脳野により様々な症状を呈します。

身体の運動麻痺や感覚麻痺、言語障害、嚥下障害、めまい、半盲、うつ、認知機能障害など色々です。

最もよくみられるのが麻痺です。

今までの臨床からどの症状にも活脳鍼は一定の効果をしめしていますが、なかでも活脳鍼が最も効果を発揮するのが、手足などの動麻痺や感覚麻痺なのです。

一般に後遺症による麻痺は、発病後1か月までに動くようになるかどうかが、回復の目安とされています。

回復のスピードは、発病後3週間ほどまでは急速に、それから約3か月まではやや回復の速度がにぶりますが、それでもかなりの改善が見込めます。

また、それ以降、およそ3年まではある程度回復するといわれています。

とくに手指については、発病後2週間以内に少しでも動くようになれば、最終的には元通りに動くといわれています。

機能の回復をはかるうえで、最も大切なのは少しでも早くリハビリに取り組むことです。

動かなくなった状態のまま時間が経過すると、関節や筋肉の拘縮(こわばり)が進行して、回復が遅れたり、最悪の場合には回復が望めなくなってしまいます。

活脳鍼の場合、発病後長期間たった患者さんでもある程度の回復が見込めますが、それでもやはり早い時期に治療を始めたほうが高い効果が得られます。

2006年の診療報酬改定によって脳卒中のリハビリは、最大でも180日間までしか保険が適用されなくなってしまいました。

前述のように発病後3年程度までは回復が見込めるのに、保険が半年しかきかないというのは問題です。

患者さんとしては保険が使える間に回復をはからなければ、膨大な治療費を払うか、リハビリを諦めるしかありません。

ただ、脳梗塞や脳出血の後遺症の運動麻痺に対するリハビリは、いったん動くようになれば、あとはその訓練を続けることで確実な機能の回復・向上が見込めます。

欧米のリハビリはCI療法が主流

脳梗塞や脳出血の後遺症のリハビリテーション(リハビリ)の方法にはいくつかあります。

その中に、患肢が使えないのは、使えないということを学習した結果(「学習による不使用状態」)によるとの考えから、健康側の肢の動きを固定し、使えないようにして、リハビリを行う方法があります。

これは、「使えない」という獲得した学習をとりのぞくことが、リハビリには必要だとの立場からです。

「使えない」という獲得した学習、つまり動かすことができないという経験です。

この方法はCI療法と呼ばれ、現在欧米では脳卒中の片マヒを回復させる有力な手段となっています。

また、「学習による不使用状態」がリハビリに支障を来たしているということですので、「学習による不使用状態」を長引かせることができません。

したがって、脳卒中の発作後できるだけ早く行なうのも、このCI療法の特徴となっています。

日本では、慎重を期してまずは安静を選ぶ傾向にあります。

その後リハビリを行うとしても、1週間や10日は先のことになります。

お国柄を反映しています。

ところで、「学習による不使用状態」ですが、これは前頭葉が絶対手足は動かせないと決め込んでしまったということと似てはいませんか。

CI療法からも活脳鍼の作用がうかがい知れます。

そして、日々の臨床から眼鍼単独よりも唇鍼を加えた活脳鍼のほうが遥かに背外側前頭前野に与える影響が強いことを実感しました。

目の周りも口の周りも三叉神経支配です。

そこに謎を解く鍵があるようです。

眼鍼を含め活脳鍼の科学的な研究は限度がありますので、多くは推測の域をでません。

この仮説を証明させるために、これからも研究を積み重ねてゆくしかありません。

世の中には脳卒中の後遺症で悩まれる方が沢山います。

回復にはリハビリも重要ですが、明るく前向きな気持ちを持つことも欠かせません。

それが脳の過剰防衛反応である筋肉の抑制システムを解除する助けになるでしょうし、リハビリに弾みをかけるのは確実です。

何故ならば、前向きな気持ちは脳内の伝達ホルモンの分泌を促進するからです。

直接運動に関係するアセチルコリンも然りです。

脳は自己が形成されるまでに常識といった固定概念で満たされます。

その固定概念から開放されれば、一瞬にして苦悩が解消し、毎日の生活が楽しくなるでしょう。

もしかしたら、未知なる能力が開発されるかもしれません。

よく言う悟りを開くという状態です。

活脳鍼が脳梗塞や脳出血の後遺症の回復に役立つだけではなく、そのような夢を多くの人に与えられれば幸せです。

現在、うつや認知障害などの精神神経疾患をはじめ、運動選手の筋力増強や企業の人材育成のために活脳鍼の応用範囲を広げています。

臨床結果

上記した作用機序により、麻痺した手足を積極的に動かす行動に移れると思われます。

事実、脳卒中後遺症に対する活脳鍼の効果は、きわめて高いものがあります。

まったく動かなかった手足が、わずか15分ほどの治療で動き出すことも稀ではありません。

また、いったん動くようになれば、あとはリハビリテーションを続けることで機能の回復・向上が見込めます。勿論、活脳鍼は手足の感覚異常や、言語障害、嚥下困難、動眼神経の麻痺にも効果的です。

展望

欧米で脚光を浴びている脳卒中のリハビリにCI療法(Constraint induced movement therapy)があります。

CI療法は脳卒中の発作後可能な限り数日以内に麻痺側のリハビリテーションを行い、元通りの運動機能を取り戻すように努めます。

その際、多少でも手足が動けばCI療法の効果が飛躍的に高まります。

その手助けが出来るのが活脳鍼なのです。

つまり、脳卒中の発作後、出来るだけ早く活脳鍼を行うことで、多少なりとも手足に動きがみられれば、リハビリとご本人の努力で順調な回復が望めるのです。

また、将来再生医療が発展すれば、壊死を起こした脳組織の神経や血管を速やかに再生させることが可能になるでしょう。

それでも、麻痺した手足を活発に動かすためにはリハビリなどによる学習が必要です。

この場合も、活脳鍼が大きな手助けになるのは間違いありません。

但し、脳卒中の再発作の危険がある場合は、安静を要します。

そのため痙縮を発生させてしまうこともありますが、活脳鍼は徐々に筋の異常反射も取り除きますので、ご安心下さい。

とにかく、諦めず、リハビリに励んでください。
その努力が報われる可能性は限りなく大きいのです。

当院でも通気法リハビリ・マッサージを行っています。
東洋医学的な改善法も併用していますので、大きな効果が期待できます。

スタッフからのお願い

脳卒中の後遺症の苦しみは、ご本人だけではなくご家族も巻き込んで気持ちを暗くしてしまいます。

ですから、本院を初めて訪れる方の多くはうつ状態にあります。

これが回復の支障にもなっています。

ですから、前向きな気持ちにさせることも必要なのです。

人間、今辛くても先に明るさが見えれば、病気に立ち向かう気力が湧いてきます。

つまり、少しでも回復傾向が自覚できれば、積極的にリハビリに励むことができるのです。

活脳鍼は脳梗塞や脳出血の後遺症に対する鍼灸治療としては目を見張る効果が期待できます。

単に運動麻痺や感覚麻痺を改善するだけではありません。

半盲と呼ばれる後頭葉の障害や嚥下障害や構音障害にも良好な症例があります。

半盲では視野の拡大が認められますし、構音障害では即答できるようになるケースが続出しています。

勿論、嚥下障害でも好物を舌で味わい飲み込めることができるようになったという喜びの声を聞きます。

脳卒中の後遺症で悩んでいる方、是非活脳鍼を試してみてください。

100%とは言えませんが、初回の治療で殆どの方に大なり小なり改善がみられています。

この回復が心に明るさを取り戻し、更なる回復が期待できるのです。

光トポグラフィーによる検証結果

【前頭葉の血流の変化】







白は血流の増加も低下もみられない領域、青色は血流が低下し、鎮静化していると推測できる領域、赤色は血流が増加し、活性化していると推測できる領域、向かって右側が右前頭葉(右頭頂葉の一部と右側頭葉の一部を含む)、左側が左前頭葉(左頭頂葉の一部と左側頭葉の一部を含む)

脳波計による検査結果

症例1 男性 58歳 脳梗塞後遺症(右片麻痺)


症例2 女性 62歳 脳梗塞後遺症(右片麻痺)

α波もβ波も波形は、赤>黄>緑>白>青の順で増強している。

筋電図による検査結果

筋放電量のグラフ

※本ホームページは顧問医の監修のもとに制作されました