
「活脳鍼」
独自の運動療法
通気法
脳卒中後遺症の麻痺、当院独自の運動療法「通気法」で手足が動き出す!
脳卒中(脳梗塞や脳出血など)の後遺症に対するリハビリは、医師の指示のもとに理学療法士や作業療法士が行います。麻痺で運動能力が落ちている場合、機能を回復するにおいては有力な手段と言えます。
但し、効果があらわれにくいケースもあります。多くは脳から筋肉を動かすために発せられる刺激伝達が十分ではない、あるいは痙縮や拘縮が関節の動きを悪くしている場合です。脳組織の損傷の程度や回復力の違いが影響しているようですが、定かではありません。
また、一般的な脳卒中の後遺症に対するリハビリの場合、障害の程度にもよりますが、麻痺側の拘縮を防ぐ、あるいは自由に動かせる側の手足の機能を高めることに主眼がおかれることがあります
麻痺がどの程度改善するかが不明で、たとえ回復がみられなくとも日常生活で困らないようにするためです。
つまり、リハビリは、麻痺そのものに対する訓練よりも、健側の機能の温存・強化に労力がはらわれるのです。
したがって、何とか立つ座る歩くは出来るようになったけど、麻痺した肩や腕、手や指の機能は元に戻らないという方もいます。
この問題を克服するのには、脳を活性化して伝達刺激を強化するとともに筋肉の柔軟性を取り戻すことが必要です。これによりリハビリの効率が上がり、大幅な機能回復が期待できるからです。
そのために開発されたのが当院独自の「通気法」なのです。
「通気法」は脳梗塞や脳出血の後遺症の緩和を目的にした運動療法です。麻痺した手足の関節の可動域を広げたり、筋力の低下を防いだりして、機能回復を図ります。また、運動を重ねることで、脳からの神経伝達が強まることが期待できるので、リハビリを支援することもできます。
この「通気法」は一般的な運動療法にボバーズ概念、東洋の伝統的な手技の推拿や導引を取り入れ、脳梗塞や脳出血の後遺症に特化した変形徒手矯正術です。
ボバーズ概念はイギリスの神経科医師カレル・ボバーズ氏と、その妻で理学療法士のベルタ・ボバーズ女史により提唱された脳脊髄疾患の機能回復法です。脳の可塑性を重視し、失われた重力に対する姿勢補正機能を甦らします。まさに下腹部(臍下丹田)を鍛え、重心を安定させることで俊敏な行動をとるという武道の神髄にも似ています。当院が考える俊敏な伝達刺激や痙縮の緩和法と共通する点を見出しました。
推拿や導引とは呼吸法と運動療法を組み合わせ、気の流れ悪化させているツボや反応点に有効な刺激を与え、気の流れをスムーズにすることで刺激伝達系の鼓舞や痙縮の緩和を図ります。深い呼吸は自律神経系の調節に役立ち、筋肉や関節を緩めます。ツボ刺激と皮膚への軽擦や指腹叩打は筋の緊張を軽減します。「通気法」の基本をなしています。
安定した姿勢でリラックスモードに持ち込み、幾度も動かそうとするしぐさを行わせることで、回路が再構築され、手足の運動麻痺が改善していくのです。
呼吸を正し、態勢をリラックスモードにして、反応点やツボにつぼシールを貼り、声掛け、タッピングや軽擦などを駆使して運動療法を行います。
恐らく、余計な力が入らない状態で、無意識の反射現象と意識した運動が脳の感覚野や運動野にインプットされ、安心感がスムーズな関節の動きをもたらすのでしょう。反復することにより脳の可塑性が進み、更に運動能力が向上します。
但し、強い痙縮や拘縮、痛みシビレがあったら、そう簡単には回復しません。
その場合は活脳鍼と併用が効果的です。
活脳鍼で手足にのびる運動神経の伝達を高め、痙縮を緩和したあとの運動療法ですので、動かないが動くに変わるのです!
理学療法士や作業療法士によるリハビリの効率を上げる対策にもなります。動けばスムーズにリハビリが行えます。6ヵ月過ぎても諦める必要はありません。
「通気法」は手技と電気治療で約15分~20分の治療時間になります。
通気法の特徴
1.つぼシールの運用
つぼシールを反応点に貼ることも通気法の特徴です。
つぼシールは円皮鍼が正式名ですが、鍼灸師が的確なつぼを探して貼り付けるので、このような名称で呼んでいます。多くは筋の起始部に貼り付けます。
つぼシールは等張性運動を促進することが解っています。
等張性運動とは関節を動かすために必要な筋肉の収縮と弛緩を指します。 つまり、関節の運動が力強くなるということです。
つぼシールとは?
通常、痛みやコリのある部分や関係するつぼに貼りつけます。一般的に、置き針と呼ばれています。
膝痛や足首痛、腰痛、首肩コリ、背中の痛み、肘腕痛、五十肩、腱鞘炎に効果的ですが、脳卒中の後遺症のリハビリでも用います。

触圧・圧覚・振動覚刺激
次に心地よい刺激も与えます。患側の筋肉に軽擦や把握揉捏法、タッピングというマッサージ手技で気持ちの良い刺激が皮膚や筋肉に加わると、患側の筋肉が緩んできますので、関節の運動がしやすくなります。
電気マッサージ器による振動刺激を与えることもあります。
振動刺激を患側の伸筋に加えると、更に患側の屈筋が緩んできます。実際、患者さんも筋肉が緩んでくるのを実感します。
ことに関節を伸展あるいは屈曲させた状態で行うと効果的です。
恐らく、屈曲反射や交差性伸筋反射、伸展反射に影響を与えていると思われます。
また、継続的に触圧刺激は脳の運動野からの神経伝達を高めることが期待できます。気持ちを安心させるように働きますので、左背外側前頭前野の過剰な反応を抑える可能性があります。つまり、悲観的な思い込みを緩和させ、企画・行動を円滑にするのでしょう。詳しくは麻痺の原因をご覧ください。
更にリズミカルに軽く叩くのも、左背外側前頭前野のトラウマを解消するでしょう。泣いている赤子を落ち着かせるとき、背中を擦ったり、軽く叩くと次第に泣き止みます。寝入ってしまう場合もあるでしょう。生体にとってはリラックス刺激です。
このリラックス刺激は脳卒中の運動麻痺にはとても効果的です。
朝目覚めたとき、妙に動きが良いと思ったことはありませんか。痙縮も緩和していませんか。
これが論より証拠です。
静的ストレッチと伸展刺激
更に触圧・圧覚・振動覚刺激により患側の筋肉の緊張が緩和したところで、屈筋群を徐々に伸展させます。
ある程度屈筋群が緩んでいないと、筋肉が損傷してしまうことが在るからです。スポーツの世界では静的ストレッチとも言われています。
筋肉をゆっくり伸展させると、瞬間的に筋肉が弛緩します。
筋原線維が切れてしまうのを防ぐための防衛反応と言えます。
筋肉の弛緩している状態は長くは続きませんが、弛緩している状態を脳に認識させることが重要です。
筋肉が弛緩して無防備な状況になっていても問題がないということを脳にインプットさせるのです。
麻痺は左前頭前野の悲観的な思い込みもあるので、解除させる必要があるからです。
そのため深呼吸をさせたり、口を開け顎関節にかかる負担を軽減させることによりリラックス状態に持ち込みます。
ただ、自力で動かせなければ、次第に機能訓練を続けようとする意欲は薄れてしまいます。
更に動かせないというというジレンマが脳の神経伝達を不良にして益々回復を遅れさせてしまいます。
その障壁となっているのが痙縮や固縮です。
いかに「通気法」が脳卒中の後遺症に有効としても、痙縮を起こしていれば、そう簡単に対象とする関節は動かせません。
ただでさえ筋力が落ちている状態なのに、関節の動きにブレーキをかけるように筋肉が固くなっていれば当然の成り行きです。
この場合は活脳鍼を行うことで解消します。活脳鍼は神経伝達を強めますし、痙縮も緩和するからです。
したがって、当院では「通気法」のみの治療は行っていません。
実際の通気法の流れ
1.
動きの悪い筋肉や関節を調べ、つぼシールを貼ります。

2.
筋肉が緩む体位をとり、下腹部を意識しながら深呼吸をさせたり、口を開け顎関節にかかる負担を軽減させたりしてリラックス状態に持ち込みます。

3.
筋肉のコリが強く、それが関節のスムーズな運動を妨げている場合はタッピングを主体にしたマッサージも行います。

4.
掛け声をかけ麻痺している上肢と下肢に指腹叩打や軽擦をまじえながら運動療法を行います。

5.
微弱な電気で、興奮した神経を鎮め血流を促進し、コリが自然に回復するように手助けします。

運動療法の効果
運動療法の効果
- 手足、指の動きをつけます
- 筋肉の痙攣や関節の拘縮を抑え、動きやすくします
- 関節や筋肉の痛みやシビレを緩和させます
- 筋力の衰えを抑えたり強化したりします
- 血流やリンパ液の流れを良く身体の機能やむくみを改善します
諦めない
そこで、お願いしたいのが、諦めないで頂きたいということです。近年、脳の可塑性についての論文が盛んに報告されています。これは脳卒中の後遺症にもあてはまります。事実、当院に通われる患者さんの多くは数年前に発症した方ですが、大なり小なり改善しているのは確かです。杖なしで歩けるようになった方、車いすが不要になり自分の足で歩けるようになった方、肘が伸びるようになり速いテンポで歩けるようになった方、手や指が開くようになってゴルフのクラブやコップが握れるようになった方、痺れや痛みがとれた方、数え上げたらきりがないぐらいの改善例があります。これらの方々は専門医からリハビリを続けても現状維持がいっぱいと言われた方ばかりです。
なお、一般的に病院の公費によるリハビリが終了すると、多くの方は通所、あるいは訪問による運動療法として変形徒手矯正術を受けることになります。簡便さと費用の安さ、効果を考えた末の結果です。
当院の「通気法」を利用する場合も、そのような状況にある方が圧倒的です。
※本ホームページは顧問医の監修のもとに制作されました。