今回の臨床報告は、3年程前に交通事故による頭部外傷・脳挫傷で左麻痺と高次脳機能障害を負ったKさんのお話です。
初回時のKさんは、とても緊張されていて、それを隠すかのようにわざと明るく振舞っているように見えました。また、Kさんは常に興奮状態が続いているような状態で、感情のコントロールがなかなか難しい状態でした。その為、鍼治療をとても怖がり、なかなか治療をさせてもらえない程でした。
いつも、明るいKさんですが、リハビリの際に、私が腕を動かすよう伝えると、小さい声で『動かないよ』と言いました。今まで、きっとKさんは、自分の左手左足を何度も動かそうと努力してきたと思います。しかし、なかなか難しい後遺症の為、知らない間に、もう動くことはないと諦めるようになってしまったのだと思います。Kさんはまだ学生で、未来があります。Kさんのその力ない言葉を聞いて、私は、何とか少しでもいいからお力になりたいと強く思いました。
本来は、活脳鍼は麻痺している手足のみでなく、全身にも鍼を施すのですが、今回の場合は本人が治療を怖がっていることもあり、必要最低限の鍼灸治療に留め、ご自宅でツボシールを使用し、活脳ツボを刺激して頂くことをお願いしました。
2・3回目の治療の際も、鍼治療を怖がっていたKさんですが、4回目の治療では、落ち着いて治療を受けられるようになり、少しずつ、ご自分で感情のコントロールが出来るようになってきたように思います。また、あんなに『動かない』と言ってリハビリをしようとしなかったKさんですが、4回目のリハビリの時には、動かそうとする意思を見せ、なんと今まで動きが見られなった手首が動いたのです。ご自分の手首が動いたのを見るのが、だいぶ久しぶりだったせいか、Kさんは動いている手首を見て『何これ気持ち悪いー!』と笑っていました。ご自分では気持ち悪いと言っていましたが、本当は嬉しかったのが、ひしひしと感じ取れました。
少しずつではありますが、Kさんの努力が実を結んできていることは間違いありません。
Kさんが、これからの未来を諦めてしまわぬよう、もう一度前向きにリハビリに励めるよう、私も一緒になって、頑張っていきたいと思います。 決して諦めないで下さい。
りゅうえい治療院は皆様を全力でサポート致します!