今回の臨床報告は、昨年の夏に来院されましたIさんのお話です。Iさんは、昨年3月に脳梗塞で倒れ、右半身の麻痺と言語障害を患いました。病院で数ヶ月入院し、リハビリ運動に励み、退院後は脳梗塞後遺症の治療を行っている鍼灸治療院を探していました。
当院へお越しになったときの状態は、上肢下肢共に可動域はあるものの全体的に筋力が弱く、特に指先が動かしにくい様子でした。また、質問をすると、数秒置いてからゆっくりとしゃべりだし返答をするという状態でした。
初診時は、活脳鍼と必要最低限な場所にお灸を行いました。治療後、指先の動きがよくなり、会話も治療前より即答することができるようになりました。数回、治療を行うと明らかに症状の改善がみられました。ご本人やお付き添いの方も前よりも良くなっていることを実感していました
あるとき、お付き添いの方から「先日、他の鍼灸治療院で施術を受けた」と伝えられました。改善していたのに、何故という疑問にかられましたが、恐らくリハビリ病院でお灸は受けないでくださいと言われたことが理由の一つになっているのでしょう。
その後、当院へは起こしになっておりません。数回の治療で指先の動きや、言葉の改善が得られていましたし、まだ、年齢が若いので更なる改善も十分あり得たでしょう。残念です。我々としては、もどかしい気持ちもありますが、東洋医学では『来る者拒まず、去る者追わず』の考えがあります。 また、何かの機会があって当院へお越しになるようであれば、その時はまた全力でサポートしていこうと思います。